【犬の伝染性気管気管支炎】いわゆるケンネルコフを獣医師が解説します。

犬が咳をする病気には、いろいろなものがあります。動物病院で、正しく犬の伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)と診断された後に下の記事を参考にして頂くことをお勧めしています。

この病気は、合併症がなければ、時間とともに症状が改善して治ります。必須ではありませんが、できるだけ7日間の安静、とくに運動や興奮を避ける必要があります。運動や興奮で、咳が出やすくなります。

動物病院では、治療の必要がないと言われることもありますし、お薬を処方されることもあります。何かしらの薬があった方が安心ですよね。これは、症状やその程度によります。

治るまでの時間は、軽度で合併症がなければ、7日間以内です。もし合併症があっても、しっかりとした食欲があり、見た目には元気であれば、7日間から14日間くらいです。しかし、食欲が低下していたり、元気がない場合には、ときに入院するなどして集中的な治療が必要になるかも知れません。

合併症がない場合の治療については、それほど難しいことはありません。大切なことは、診断です。犬が咳をする病気には、とても深刻なものもあります。そのような怖い病気ではなく、伝染性気管気管支炎だと診断することが大切です。伝染性気管気管支炎だとわかって、合併症がなければ、ある程度楽観視できる病気ですが、合併症が酷かったり、他の重篤な病気であれば、決して楽観視はできませんので、ある程度気持ちを楽に治療するためには、診断が大切になります。

犬が咳をする病気の中で、さらに気管と気管支の病気の中で一般的なものには、次のようなものがあります。

伝染性気管気管支炎、慢性気管支炎、気管虚脱、アレルギー性気管支炎など

多くの犬では、湿っていたり、乾いていたりする咳が主な症状としてみられます。この咳の症状は、激しく動いたり、興奮したり、ときに首輪が喉を刺激したりすることで悪化します。他には、えずいたり、吐き気を見せたり、鼻水が出ることもあります。

感染する病気ですので、多くの犬はどこかで感染した訳です。では、どこで感染したのでしょうか。

2週間以内に出かけた

入院、ペットホテルやトリミングサロン

ドッグランや散歩中に他の犬と遊んだ

ペットショップやブリーダーから入手したばかりだと、すでに感染していることがあります

犬の伝染性気管気管支炎に似たような症状を呈する、実はとっても怖い病気もあります。

犬ジステンパーウイルス感染症

重い犬インフルエンザ感染症

真菌感染症

獣医師は、どのようにしてこの病気の診断をするのでしょうか。

基本的には、症状や犬の状態を見て診断をします。つまりは、必ずしも検査が必要ではない訳です。では、どのような場合に検査をするのでしょうか。それは、犬の伝染性気管気管支炎に似たような症状を見せる他の病気ではないことを確かめるときです。または、犬の伝染性気管気管支炎の程度を知るために、胸部X線検査を行ったり、血液検査を行うことがあります。他には、気管洗浄検査や、ウイルスや細菌を調べるためのPCR検査、抗体値の変化でウイルス感染症を調べるペア血清による血清学的検査を行うこともあります。

予防

この病気にかかるのは、おうちに迎えたばかりの仔犬が多いので、ワクチン接種は1回か2回くらいは済んでいるかも知れません。それでも、ワクチン接種が大切な予防策です。そして、感染した犬に近づけないことや、もし自分の犬が咳を始めたら、できるだけ治るまでは他の犬に近づけないことも大切です。