猫の下痢が1週間以上続くのは、何かおかしいですよ。治療が必要です。
猫の下痢の治療は、どのような原因で下痢になっているかによって異なります。今回は、その原因にはどのようなものがあるかを見てみます。
猫の下痢の原因(代表的なもの)
解剖学的異常
生まれながらに大腸が短い、手術で小腸や大腸を広範囲に切除したことがある、肝門脈体外循環シャント、腸閉塞、先天的な横隔膜ヘルニア、心嚢ヘルニアなど
感染
- ウイルス:猫汎白血球減少症ウイルス、腸管コロナウイルス、猫カリシウイルス、FIP、ロタウイルス、アストロウイルス、FeLV(猫白血病ウイルス)、FIV(猫免疫不全ウイルス)など
- 細菌:キャンピロバクター、サルモネラ、大腸菌、クロストリジウムなど
- 真菌:ヒストプラズマ、アスペルギルスなど
- 寄生虫:イソスポラ、ジアルジア、トキソプラズマ、クリプトスポリジウム、回虫、猫鉤虫、犬鉤虫、猫糞線虫、犬条虫、猫条虫、犬糸状虫など
免疫介在性
食物不耐性、過敏症
炎症
リンパ球プラズマ細胞性、好酸球性、肉芽腫性、潰瘍性腸炎、化膿性胃腸炎、炎症性腸疾患など
代謝性・内分泌性
甲状腺機能亢進症、糖尿病、膵外分泌不全、膵炎、肝疾患など
腫瘍性
リンパ腫、腸管肥満細胞種、猫の全身性肥満細胞増多症、腺がん、腸管腫瘍など
薬物・毒物
様々な薬物が可能性あり、化学薬品、植物
様々な薬物が可能性あり、化学薬品、植物
その他
特発性猫大腸炎、過剰な食事、突然の食事の変更、質の悪いものを食べるなど
上述の病気が、猫の下痢の原因になるもので、主なものをほぼ網羅できています。
私がよくみる猫の下痢の原因は、上に書いた病気の中では、次のものに絞られます。
よくみる猫の下痢の原因
腸コロナウイルス感染症、クロストリジウム性腸炎、食物不耐性、膵炎、炎症性腸疾患、リンパ腫、特発性大腸炎
治療の流れ
治療の方法は原因によって異なりますが、診断が立つ前に治るものも多いものです。まずは細菌性の下痢を考えて、メトロニダゾールを使ったり、食物不耐性や炎症性腸疾患を疑ってプレドニゾロンを使うことがあります。
これらの治療に反応するかどうかは、1週間以内にはわかりますので、反応がなければ、確定診断のための検査を追加したり、食事療法を取り入れたりします。
私の印象なのですが、食事療法を勧めても、飼い主さんはそれって効果があるの?という反応をされることが多いですね。はじめは。でも、使って驚くくらいに良くなることも多いので、リピートしてそのフードを使われます。
上の治療に反応しないものは、腫瘍です。リンパ腫ですと、少しは反応してくれることがあっても、下痢、または便秘が続くことがあります。
診断に必要な検査
病歴を問診する、身体検査、糞便検査、血液検査(CBC)、血液生化学検査、尿検査、猫白血病や猫エイズの検査、甲状腺ホルモン測定、ジアルジアを検出するための検便、除去食試験、X線検査、超音波検査、内視鏡検査、腸管の生検、試験的開腹手術
猫の慢性的な下痢は、診断をするのも治療をするのも、短時間では困難です。猫に食欲があって体重が減っていなければ、大丈夫なことが多いので、まずは確定診断までの検査を進めてみることになるでしょう。
もし数ヶ月の経過がある下痢の場合には、猫の体重が減っていることもあります。できるだけ早い解決が必要になります。