【子猫のワクチン接種スケジュール】仔猫を迎えたら必ず読んでくださいね!!

ペットショップの方やブリーダーさんに、次はこの日にワクチン接種をしてあげてくださいね。というお知らせを受け取られているのではないでしょうか。

そして、ワクチン接種については、獣医師と相談してくださいというお話をされるペットショップやブリーダーさんもあります。

この記事では、仔猫のワクチン接種スケジュールのガイドラインをご紹介します。

仔猫には、このようなタイミングでワクチン接種をしたら良いですよというガイドラインがあります。これは、WSAVAというところが出しているものです。WSAVAとは、世界小動物獣医師会と訳されています。

初回に接種する週齢によって、その後の接種時期が異なるところもあります。

WSAVAガイドラインからの抜粋
6-9週齢で初めて動物病院に来院し、
その後3-4週間ごとに再接種を受ける仔猫のワクチン接種スケシュール

6週齢から9週齢で初めてワクチン接種をした場合です。

日本国内では、8週齢未満の犬猫の販売は禁止されていますので、多くの仔猫は、初回のワクチン接種はブリーダーさんが動物病院に連れて行って、行ったものかも知れません。仔猫を家族に迎えるときには、既に1回くらいのワクチン接種が済んでいることがよくあります。

そのあとのスケジュールについてお伝えいたします。

初回ワクチン接種を6週齢、7週齢、8週齢、9週齢、でした場合、その後のスケジュールには、2つのパターンがあります。初回以降、3週間毎に合計4回接種する方法と、初回以降、4週間ごとに3から4回の接種をする方法です。

代表して、初回のワクチン接種が生後8週齢のときに行った場合をお話しします。

まず、生後8週齢で初回のワクチン接種をします。ほとんどは、コアワクチンである3種混合ワクチンのはずです。

まず、生後8週齢で初回のワクチンを接種して、次は、3週間後の11週齢、さらに3週間後の14週齢、そして17週齢で一応最後です。

もう一つのパターンは、生後8週齢で初回のワクチン接種後、4週間あけて12週齢、さらに4週間開けて16週齢で一応終わりにします。

これは、どのように分ければ良いのでしょうか。どのような猫が3週間毎で、どのような猫が4週間毎なのかということです。これについては、WSAVAのガイドラインにはありませんが、極めてリスクが高い仔猫には、2週間毎に接種というスケジュールがありますので、3週間毎か4週間毎かは、感染リスクが高いかどうかで分ければ良いでしょう。

猫を既に飼っている家庭では、3週間毎のスケジュール、新しく迎えた仔猫しかいない家庭では4週間毎のスケジュールで良いでしょう。

なぜ、このように複数回のワクチン接種をすることが推奨されているのでしょうか。

しかも生まれた年だけ。

生後1年を迎えると、その後のワクチン接種スケジュールは、1年に1回や3年に1回など、かなり少なくなります。

生まれた年に、こんなに多くのワクチンを接種する理由があります。

まず、第一に、猫が重い感染症で命を落とすことがないようにすることです。

このために、ワクチンをして免疫する。つまりは、重い病気にならないようにするために、ウイルスに対する抗体を作るのが目的です。

この抗体を作るために行うのがワクチン接種です。

では、ワクチン接種を何度も行わないと抗体はできないのでしょうか。

そこが、これから踏み込むところです。

生まれた年にワクチン接種を何度もするのは、ワクチンの効果を邪魔するものがあります。それは、意外かも知れませんが、仔猫が生まれながらも持っている、母親由来の移行抗体と呼ばれるものです。

つまりは、仔猫は、生まれながらにして、お母さんから、病気に打ち勝つための抗体をもらっているわけです。では、ワクチンは必要ないのでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。それは、当然の疑問だと思います。

この母親由来の移行抗体というものは、早い時期に消えてしまうのです。

母親由来の移行抗体があると、ワクチン効果が期待できない。しかし、その母親由来の移行抗体は、早い時期に消えてしまう。

ここに、母親由来の移行抗体が少なくなっていき、まだ完全に病気に対して無防備ではないけれども、ワクチン効果が期待できるという時期があります。

それは、生後8週齢から12週齢くらいです。

しかし、必ずしもその時期というわけではありません。

母親由来の移行抗体が少ない仔猫は、それよりも早い時期に無防備になり、同じく母親由来の移行抗体レベルが極めて高い子猫は、生後12週齢移行もワクチン接種に反応しません。

そのような理由で、母親由来の移行抗体が減るだろうという時期に、何回かワクチン接種をして、母親由来の移行抗体か、ワクチン由来の抗体がある状態を作るようにしているわけです。

無防備な状態にならないようにしようというわけです。

ここに、一つ別の方法があります。

このように、ある程度の統計的に導かれた時期をもとにしてワクチン接種をするのではなく、もっと科学的に、今ワクチン接種をしたら良いという時期を見定めることはできないのだろうかということです。

実は、そんな方法があります。

抗体価測定です。血液検査をして、抗体価を調べることで、ワクチンが効きそうか、まだ効かなそうかを判定するということです。

しかし、これには、色々と問題もあります。

仔猫から何回か採血をしなければならないこと、そして、費用も毎回かかるということです。

それならば、ワクチン接種をした方が良いという選択は自然なものだと思います。

またここに別の情報があります。

ある一つの猫の繁殖場で、かつ、1品種の猫についての研究結果ですが、ここでは、生後16週齢にコアワクチンを接種しても、1/3は、これに反応しなかったというのです。つまり、ワクチンが効かなかった。しかも、多くは、生後20週齢でもなお、ワクチン接種が効かないほどの母親由来の移行抗体を持っていたというのです。

これは、かなり偏った研究結果ですので、一般的ではありません。

WSAVAのワクチネーションガイドライングループでは、生後16週齢以降までは、ワクチン接種をするべきだというガイドラインを提案しています。

そして、初めにお話をしている、ワクチン接種スケジュールのあとは、どのようにするかという提案があります。これもWSAVAのガイドラインです。

それによりますと、一応の最後のワクチンの次には、生後半年から1年の間に、再接種しましょうとなっています。

これは、ブースターワクチンと言われますが、決してワクチンによる免疫応答を強化するのが目的ではなく、もしかしたら、一応の最後のワクチンでも、効果がない猫がいた場合に備えて、確実に免疫応答を発現させるのが目的です。

簡単に言いますと、生まれた年の初めの頃に、何回かワクチン接種をしたとしても、もしかしたら母親由来の移行抗体レベルが高すぎて、ワクチンが効いていない猫がいるかも知れない。だからと言って、さらにワクチン接種をするのも、必要かも知れないし、必要のない猫も多いはず。

で、あれば、まずは生後16週齢を過ぎるところまでは、みんな接種を推奨するのが妥当で、でも、ワクチンが効いていない猫もいるかも知れないから、その後を1年も先にするのではなく、半年後からはやってもいいだろうというのがガイドラインです。

ガイドラインとは、できるだけ多くに適応できるルールですから、必要が無かったり、不足したりということは、どうしても起こります。全てをカバーするためには、もしかしたらとんでもない回数のワクチン接種をすることになるかも知れません。