【犬のタンパク漏出性腸症】慢性下痢に必要な食事を獣医師が解説します。

結論から書きますと、犬のタンパク漏出性腸症で必要な食事は低アレルゲン食低脂肪食です。低アレルゲンであり、低脂肪でもある食事が存在します。

犬の慢性下痢の原因は、多くが慢性腸症で、そのまた多くは食事に関連しています。そして、薬を最小限にして、食事療法中心で治療できることも少なくはありません。

以前の記事で、犬のタンパク漏出性腸症について書きました。

下痢が3週間を超えて続く犬の慢性腸症で場合には、血液中のアルブミンと言うタンパク質が少なくなることがあります。これを低アルブミン血症といいます。慢性の下痢で、低アルブミン血症であれば、これをタンパク漏出性腸症と呼びます。

犬の慢性腸症の症状は、3週間を超えて続く下痢、軟便、嘔吐、体重減少、腹鳴、食欲不振などです。そして、下痢ではありますが、腸ではないところに異常がないかも検証しなければなりません。肝臓、腎臓、膵臓、そして副腎に異常がないことを検査します。また、腸の病気であっても、腸内に異物、腸重積や腫瘍はないかも検査します。

犬の慢性下痢には、原発性と二次性があります。原発性とは、腸に異常があるもので、二次性とは、腸以外に異常があり、その影響が腸におよび下痢を起こしていると言うものです。

割合は、原発性が90%二次性が10%と言う研究結果があります。

そして、原発性には、慢性腸症、寄生虫、腫瘍、部分的腸閉塞、腸重積、原発性リンパ管拡張症があり、このうち原因の70%を超えるのが慢性腸症です。ちなみに、二次性の慢性下痢症には、膵外分泌不全、副腎皮質機能低下症、肝疾患、腎疾患、心疾患などがあります。

慢性下痢の原因になるもの

原発性合計90%
慢性腸症75%
寄生虫7%
腫瘍7%
腸閉塞1%未満
腸重積1%未満
原発性リンパ管拡張症1%未満

二次性合計10%
膵外分泌不全5%
副腎皮質機能低下症3%
肝疾患1%未満
腎疾患1%未満
心疾患1%未満

割合で見ますと、犬の慢性下痢の原因は、ほとんどが慢性腸症とも言えます。

免疫、食事、そして腸内細菌が慢性腸症に関わっています。このうち、免疫がおおよそ20%、食事が70%、腸内細菌が10%程度という統計結果があります。これらは個々に別々のこともありますし、例えば、食事と免疫が関係しているというようなこともあります。慢性腸症のほとんどは、食事に関連していると言えます。

今回は、その病気の犬に、どのような食事を与えたら良いのかをご紹介します。

犬が慢性的な下痢や軟便を起こして、動物病院でタンパク漏出性腸症と診断がされた場合に最も適切な食事は、低アレルゲン食であり、かつ低脂肪食です。

低アレルゲン食には、新奇タンパク質がオススメで、これは、これまで犬が食べたことのない動物性タンパク質を主原料として使った食事です。

そして、低脂肪食や超低脂肪食と呼ばれる食事が推奨されます。ここで、低アレルゲンであって、超低脂肪食というものはないのかと気ななりますよね。

これは製造がかなり難しいようで、ほとんど存在はしないのですが、カツオを主原料とした低アレルゲンかつ、低脂肪食が動物病院で手に入ります。

犬のタンパク漏出性腸症に食事療法を行った研究結果があり、これによりますと、72%が完全に反応し、18%が部分的な反応、反応が見られなかったのは1%未満でした。

慢性下痢、タンパク漏出性腸症には、低脂肪食や超低脂肪食と呼ばれる食べ物が有効という結果です。これらの中には、一切の薬を必要としないものも多く存在します。

ここでは、さらに必要な場合、サプリメントが有効です。これは、かかりつけの動物病院で相談してみてください。

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