犬の血液検査で、肝臓に関係する数値が悪いですよ。と、言われたことはありませんか?
そうなりますと、肝臓がどのように悪いのですか?または、原因は何ですか?と尋ねたくなりますよね。
獣医師は、正確に回答してくれましたか?
おそらくは、この段階では、なぜ血液検査で肝臓に関係する数値が異常値なのかの可能性の話にしかならないかも知れません。
この時に、はっきりとした原因がわかることもあります。例えば、交通事故にあったとか、血液検査で肝臓の数値が悪くなるような薬を飲んでいるとか、ということです。
しかし、健康診断などで、特別にどこも悪いとは思えないような場面で、血液検査結果で肝臓の異常がわかることもあります。その段階では、本当の異常かどうかはわかりませんし、肝臓に何かしらの問題があるかも知れないという可能性の段階までしかわからないことも多いと思います。
犬の家族としては、原因を知りたいけど、そもそも悪いのは今だけで、すぐに治るのではないかという期待もあるでしょう。
結論から書きますと、血液検査で肝臓に関係する数値に異常値があった場合、それが対症療法などで改善せずに、犬も調子が悪い場合、どうするべきか。
肝臓の生検をすべきです。
肝臓の生検をする目的は、肝臓の問題がよりはっきりとわかるということです。デメリットは、ある程度の危険を伴うということと、時に全身麻酔が必要になることでしょうか。
では、肝臓の生検をしない場合はどうでしょうか。
肝臓の生検をしない場合には、血液検査で肝酵素(GPTやGOT、あるいはALTやAST)が高い原因については、可能性は話せますが、確定ができないということになります。
犬のご家族に、肝酵素が高い原因は何ですか?と質問されることがあります。そのような場合には、その時にわかる可能性をお話しして、さらに原因を確定するためには、肝臓の生検が必要ですとお話しますと、そこまでは望みませんと回答さえれることは珍しくはありません。
そして、続けて、原因はわからないのですね?と言われますので、原因を知る方法はあります。肝臓の生検ですという繰り返しになることもまた珍しくはありません。
そこで、肝臓の生検をした場合には、獣医師は犬のご家族に、かなり多くの情報が提供できるようになり、確定診断が立ち、そして的確な治療を始めることができるようになります。
ご家族が肝臓の生検を拒んでいらっしゃる背景には、獣医師の説明不足や獣医師への信頼がまだ低いとか、何かしら獣医師側に問題があることも考えるべきですので、そこは真摯に受け止めて、できるだけ丁寧な説明ができるように心がけています。
私自身、肝臓の生検を行うまではっきりとしなかった病気が、確定診断ができたことで一気に治療が進み、犬の体調が劇的に良くなったという経験が多くあります。
犬の血液検査で肝臓が悪いと言われたけど、原因がわかっていない。そして、犬の様子もあまり良くないし、対症療法にも反応していないようだという時には、確定診断を行う方法として、肝臓の生検という方法があります。