【癌探知犬】ガンを探知する犬を獣医師が解説。

癌探知犬最新情報

  • ヒトに癌があるかどうかを探知できる犬がいます。特別な訓練をした犬です。
  • 癌探知の正確さは、癌の種類によって異なりますが、ほぼ100%と言っていいレベルです。
  • はじめに癌探知犬となった犬が探知したのは、ヒトの皮膚ガンです。
  • 癌探知は、患者さんの吐く息、尿、血液(血清)、皮膚表面を使って行います。
  • 癌探知犬が探知している成分は、はっきりとはわかっていません。
  • 癌探知犬が探知する癌は、肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、そして黒色腫(皮膚ガン)などです。

癌探知犬は存在します。

海外の文献にもありますし、山形県の町では、町立診療所に人間ドックを受診して希望者した町民から集められた尿を癌探知犬に嗅がせて、2年間で4人の癌患者を見つけることができました。

癌探知犬の検知能力はどれくらい正確か?

肺がんについては、感受性99%、特異性99%という論文報告があります。

感受性と特異性とは、まず感受性についてですが、これは癌患者さんを取りこぼしなく見つけることができるかというものです。感受性が高いとは、癌があるのに、間違って癌がないと判定されることがないということを示します。

特異性とは、感受性と少し異なります。癌がない患者さんを癌がないと判定するものです。特異性が高いとは、間違って、癌がないのに、誤って癌があると判定しないことを示します。

例えばですが、もし1000人が健診を受けて、その中に5人だけ癌患者さんがいたとします。癌探知犬が、全く違う5人を癌患者さんと探知したとします。それでは、感受性も特異性もゼロです。

また、癌探知犬が、5名の癌患者さんを含んだ10名を癌患者と判定したとすると、5人がしっかりと探知はされていますから、感受性は高いわけですが、癌がないのに、あると間違われている人が5人もいます。これですと、特異性が低いことになります。感受性は高いけど、特異性が低いわけです。

肺がんについては、感受性99%、特異性99%ということは、ほぼ100%ですよね。癌患者さんだけをもらさずに判定して、その中には、間違って癌がないのにあると判定された人がいなかったということです。これが、感受性も特異性も高いということです。

癌探知犬が何を探知しているかはわかっていません。

癌探知犬が、癌患者さんの何を探知しているのかはわかっていません。ただ、癌患者さんが吐く息に何かがあることはわかっていますから、これをガスクロマトグラフという装置を使って解析します。今のところ、揮発性の有機化合物ということで収まっています。

癌探知犬が、何を嗅ぎ分けているのかがわかれば、大きな発見になります。その物質を癌探知犬が嗅ぎ分ける倦怠としては、尿よりも呼気の方が感受性も特異性も高かったという論文があります。