犬の悪性黒色腫、メラノーマ
Melanoma、これは、黒色種と呼ばれる腫瘍です。メラノーマには、次の3つがあります。
- 皮膚メラノーマ
- 歯肉由来のメラノーマ
- 爪床メラノーマ
悪性の度合いは、発生部位によって異なります。
・皮膚メラノーマ:85%以上が良性の動きをします。
・歯肉由来のメラノーマ:ほとんどが悪性です。→発見時で、その後1年間生存できる可能性は低いです。
・爪床メラノーマ:ほとんどが悪性です。→発見時で、その後1年間生存できる可能性は低いです。
獣医師がお勧めする対処法
・皮膚メラノーマ:できるだけ広めに切除することで、予後が良好なことがあります。
・歯肉由来のメラノーマ:その後に治ることを期待して広めに手術をすることを勧められるかも知れません。率直に申し上げると、これで解決することは難しと考えてください。
・爪床メラノーマ:その後に治ることを期待して指ごと切除する手術をすることを勧められるかも知れません。率直に申し上げると、これで解決することは難しと考えてください。
注意しなければならないこと
大切なことは、皮膚メラノーマの場合、もし完全切除ができれば良い予後が期待できるのですが、皮膚メラノーマが、悪性度の高い歯肉由来のメラノーマや爪床メラノーマの転移でできたものかも知れないということです。
悪性黒色種、メラノーマは転移します。
高い転移率を考えますと、もし手術を考える場合、すでにどこかに転移していたら、手術をしても完全に解決はしないことになります。例えば、爪床メラノーマがあり、指ごと切除しましょうとなったとします。しかし、これがすでに肺に転移をしていたら、指を失ってもその後にあまり時間が経たない中で、肺の転移病巣が大きくなって、犬が咳をし始めます。そして、その肺の転移病巣が大きくなり、最後には命を奪うのです。
私の考えですが、歯肉由来のメラノーマと爪床メラノーマは、戦って勝てる相手ではありません。もし勝てるとしても、とても幸運だった時に限られます。
飼い主さんは、そのことを前提に色々な決断するのが良いと考えています。
悪性腫瘍ができると、どうしても淡い期待をします。そして、悪性腫瘍を完全に取り除けるのではないかと考えて、かなり大掛かりな手術でも同意されると思います。それでも難しいのが、悪性黒色腫、メラノーマなのです。
戦わない選択もあります。ここはとて難しとところです。これまで可愛がってきた犬との最後の生活にカウントダウンが始まるわけです。そこに後悔がないようにしてください。それは、悪性腫瘍に立ち向かうだけではなく、戦いを挑まないという選択もあります。
悪性黒色種、メラノーマ、一つのエピソード
結果論ですが、それを良かったと評価できるか、そもそも戦わない方が良かったと考えるかは、あなたの思いによると思います。少しでも可能性に賭けたいとするならば、手術をするべきです。もし手術をないで犬が亡くなったら、やっていたら助かったかも知れないと後悔するかも知れません。
しかし、最後の時が近いのであれば、痛い思いをさせたくないとして、強い意志を持って手術をせずに過ごすことを選択したならば、それはそれで評価されるものです。
悪性黒色種、メラノーマ、手術の前に行うべき検査
ちなみに、悪性黒色腫メラノーマの手術を行う場合には、必ず行うべきは転移巣を探し出すことです。これには一般的な検査に加えてCTやMRIなどの画像検査が必要になります。
悪性黒色腫メラノーマに対しては、色々な治療の試みがなされていますが、有効なものは残念ながら見つかっていません。
皮膚メラノーマが、他のメラノーマの転移病巣ではない場合、そして、他にに転移していない場合には、広範囲に切除すれば良好な予後は期待できます。戦うべきメラノーマだと思います。もちろん、必ず勝てるという相手ではありませんが。
そして、勝てないことは前提でも戦うことを決めた場合には、手術の後で抗ガン療法があります。しかし、悪性黒色腫メランーマは、抗がん剤にも抵抗性があることが多いものです。つまりは、抗がん剤が効きにくいのです。
悪性黒色腫メラノーマは、わかった時点で生活の質を高めることを考えて、どれくらい戦うか、あるいは戦わないかを考える、そんな怖い悪性腫瘍です。