【犬の混合ワクチン、予防接種】あなたが知っていても良いこと。獣医師が解説します。

あなたの犬に混合ワクチンを接種するかどうかは、あなた自身が決めて良いことで、誰も強制することはありません。この記事は、自分の犬に混合ワクチン、予防接種を受けさせてあげたい飼主さんに読んでいただきたいものですので、ご自身の犬にそもそも混合ワクチン、予防接種を受けさせたくない方には必要のないものです。

混合ワクチン証明書をお持ちの方は、ご用意の上で読んでみてください。

まず、毎年接種されている方は、基本的に問題がありません。

しかし、コロナウイスルに対してのワクチン接種は、国際的には推奨されていません。接種してはいけないということではなく、「勧めない」とされています。もし、あなたの犬の主治医にお話しする機会があれば、コロナウイルス抜きのワクチン接種を希望しても良いと思います。

問題なのは、3年に1回しかワクチン接種をしていない犬の飼い主さんです。

そして、短時間に結果が出る簡易キットを使ったワクチン抗体価検査を受けている犬の飼い主さんです。

必要な説明を受けていない可能性があります。

受けていないかも知れない説明。

その1、混合ワクチンの中で、犬ジステンパー、犬パルボ、犬アデノウイルス(I型、II型)以外は、毎年接種が推奨されています。ご存知でしたか?

その2、特に、7種混合ワクチンや、8種混合ワクチン、10種混合ワクチンなどには、半年から1年で効果が切れるとされているレプトスピラが含まれています。レプトスピラに対しての効果も、もしかして3年も持つと思われていませんよね?

その3、コロナウイルスに対するワクチンは、国際的には推奨されていません。もしかして、あなたの犬は、コロナウイルスに対するワクチンを接種してはいませんか?

上のことは、WSAVAワクチネーションガイドライン2015についてのことです。

犬のワクチン接種は3年に1回でいいんですよ。WSAVAワクチネーションガイドライン2015でそう決まっているんです。毎年接種はおすすめできません。という獣医師がいたら、ちょっと注意してください。もしかしたら、その獣医師は、ガイドラインのことをあまり知らないのかも知れません。

なぜなら、ガイドラインに則してワクチン接種をしているのであれば、一応3年も効果が持続すると言われているのが、犬ジステンパー、犬パルボ、犬アデノウイルス(I型、II型)だけですから、それ以外はガイドラインでも毎年接種を勧めているという説明をするべきです。

しかも、レプトスピラについては、半年から1年で有効ではなくなるという説明をするべきです。

さらには、コロナウイルスに対してもワクチンはガイドラインでは推奨されていないけど接種していると説明するべきです。

また、大切なことがあります。

簡易キットを使った抗体価検査は、その結果を慎重に検討するべきです。

簡易キットではない、研究所レベルの検査を行っているのが、マルピー・ライフテック株式会社です。ここでは、ワクチン抗体価検査結果を3段階に評価しています。

検査センターでの検査報告書

・すぐに接種した方がいいですよ(ワクチンの効果が切れていますよ)

・今はまだワクチン効果がありますが、1年は持たないでしょう。(1年以内にワクチンが必要)

・今年はワクチンを見送っても大丈夫ですよ(ワクチンの効果はしっかりとありますよ)

というものです。

私は、1年以内にワクチンが必要という結果が出た場合には、その検査結果にもよりますが、だいたい半年後の追加接種をお勧めしています。

では、簡易キットではどうでしょうか?

実は、簡易キットの結果とマルピー・ライフテック株式会社の結果を比較すると、簡易キットで抗体価ありと判定されるのは、マルピー・ライフテック株式会社の「1年以内にワクチン接種が必要」というものと同等とされます。

つまりは、簡易キットで抗体価ありとされるのは、ワクチン効果がしっかりとありますよという判定とは限らないのです。抗体価ありという判定の中には、1年以内にワクチンが必要というものと、1年間は大丈夫というものがあり、それらを明確に区別できません。

ですから、簡易キットで抗体価ありとなっても、安心できない場合もあるわけです。ご存知でしたか?

せっかく混合ワクチン、予防接種をしようとしているのに、獣医師に十分な説明を受けていない方もいらっしゃるようです。

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