犬の発作が起こりました。どうしたらいいですか?
1回で終わる発作で、その後元気にしている場合には様子を見てもいいですが、もし発作重積あるいはてんかん重積状態であれば、できるだけ早めに動物病院に行ってください。
発作重積、てんかん重積状態とは?
1回の発作が5分以上続く場合、あるいは発作が終わりそうになると次の発作が始まってしまう場合を発作重積、あるいはてんかん重積状態と言います。
発作を初めて見ると、もしかしたらそのまま昇天するんじゃないかなって思うことがありますよね。そして1回でも見たら、とにかく動物病院に行こうと思うでしょう。また、そういうときに限って深夜だったり、深夜ではなかったとしても仕事から帰ってきたばっかりで、もう動物病院もやっていない。そうなると、また懸命にその時間にやっている動物病院を探すことになるでしょう。
多くの発作は一過性ですし、発作が終わると犬がほぼ普通の状態に戻っているはずです。発作が始まってから終わるまでの時間は、初めて見る飼い主さんにとっては、かなり長く思えるでしょう。しかし実際はそれほど長くはないはずです。危険とされる5分以上とは、5分以上にわたって意識がなく震えが止まらない時間です。一応終わったらしいけどハアハア続けている、なんて時間はカウントしません。
また、似たようなものに、群発発作があります、24時間以内に2回以上の発作がある場合にこの言葉を使います。一旦はしっかりと終わったから、また次の発作が起こる場合です。
この群発発作は、必ずしも救急対応が必要なものではありませんが、そのようなものでも回数によっては発作重積と同じように対応した方が良いでしょう。
発作の起こり方には、次の2つの発作型があります。
どちらであっても、脳には損傷が起こります。そして、発作重積を起こすと、明らかに寿命が短くなることがわかっていますが、これは、発作重積を起こしたことがない犬との比較ですので、どれくらい短くなるかはわかっていません。
脳損傷とは異なり、発作重積や繰り返す発作は、脳にMRI上の変化を起こします。つまりは、見た目に脳の形が変わるということです。単発のてんかん発作でこのような変化が起こることはありませんが、発作重積や重篤な群発発作では、発作をできるだけ早くに抑制できなければ脳に形的な変化が起こり、頭蓋内の圧力が高くなりすぎて死に至る場合もあります。
発作重積に対する治療は、動物病院でしかできません。入院管理が必要なことが多いと思います。まずは、発作したいは脳に問題があるわけですが、その問題が頭の中だけに起こっているのか、頭の外、すなわち頭以外の原因が頭に影響を及ぼしているのかを調べます。多くは血液検査を行うことになります。
獣医師がよく血液検査でみるポイント
治療は、発作を抑えることです。
これまでどのような治療を行ってきているかで、使う薬が変わることがあります。例えば、普段フェノバルビタールという薬を使っていなければ、このフェノバルビタールという薬を静脈注射をして、発作が治るかをみます。この薬を一定間隔ごとに注射して、血液内でのフェノバルビタール濃度を高めると、発作が見られなくなることが多いので、そこから安定すれば飲み薬に変えることがあります。しかし、発作が続いていると、静脈注射ができない場合があります。そのようなときには、筋肉内注射を含め、別の方法で薬を投与します。発作が止まって落ち着いてから静脈注射の用意や検査などを行います。
上の例は私のやり方ですし、それでも1例ですので、動物病院で使う薬ややり方が変わることがあります。私もさらにいくつかの治療パターンを持っていますので、上記だけでしか治療を行わない訳ではありません。
ちなみに普段の外来では、発作に対する治療では、フェノバルビタールではない飲み薬を使うことが多いですね。重積ではない、発作の管理のための治療です。
そして、上のような治療に反応がない場合には、点滴で持続的にお薬を入れます。しばらくずっと眠させる訳です。このときには、普通に眠っているのとは違いますので、集中管理が必要です。
発作はいつ起こるかわかりません。
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