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ドッグフードの総合栄養食やヒューマングレードという言葉を聞いたことがあるでしょう。
しかし、総合栄養食やヒューマングレードを誤解している人が非常に多いというのが私の印象です。
この記事では、基本的なことから、かなり深掘りした内容までを解説します。ドッグフードを選ぶときの参考にしてください。
ドッグフードの総合栄養食は、必要とする栄養基準を満たしていて、水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるように調整された犬用の食事です。
ドッグフードに総合栄養食と表示するには、ペットフード公正取引協議会が定める試験で、必要な基準を満たさないといけません。
ヒューマングレードのドッグフードとは「ヒトが食べることができる原材料で作られたドッグフード」のことを指し、ヒトが食べても問題がない品質という意味で使われています。
しかし、ヒューマングレードという言葉には、共通した定義がありません。総合栄養食にあるような基準もありません。
動物病院の獣医師として年間10,000件以上の診療を毎年続けています。診療の中で、多くの飼い主さんから犬の食事についての悩みを聞いてきました。
ヒューマングレードのドッグフードは優れたドッグフードだと思われているようです。
総合栄養食につて、そしてヒューマングレードのドッグフードについて、特に次の3つのトピックについて詳しく説明しています。
- ヒューマングレードのドッグフードとは、実際にどのようなものかわかる
- ヒューマングレードという言葉に出されている警告を知る
- ヒューマングレードのドッグフードを選ぶときに見るべきポイントがわかる
そして、下の2つのトピックについては紹介していません。
- おすすめするドッグフード
- ドッグフードランキング
私がお勧めするドッグフードは、こちらの記事をご覧ください。
ドッグフードおすすめの5プラス1を比較 – 獣医師が解説 –- ドッグフードに「ヒューマングレード」が採用されるようになった背景
- ヒューマングレードにある誤解
- 総合栄養食の与え方
- 年齢別のドッグフードは必要ですか?
- 犬種別のドッグフードのデメリット
- 総合栄養食の栄養基準
- AAFCO(米国飼料検査官協会)は「ヒューマングレード」に懐疑的
- ラベルに「ヒューマングレード」と表示されたドッグフードがない理由
- ドッグフードは「ヒューマングレード」でなくてもよい
- AAFCO(米国飼料検査官協会)による「ヒューマングレード」の基準4つ
- 本物のヒューマングレードはここにある
- 100%ヒューマングレードだけが本物
- ヒューマングレードは安全のしるし?
- 解説 – 危険なヒューマングレードがある –
- まとめ
そもそも公式にヒューマングレードのドッグフードという基準はありません。
「ヒューマングレードのドッグフード」とは、それぞれのドッグフードメーカーやドッグフードを紹介するサイトが、独自に使っている表現です。
ヒューマングレードのドッグフードという言葉が増えてきたのは、安心・安全の象徴としてヒトの食用レベルだということをアピールするため。粗悪な原材料を使ったドッグフードとの差別化です。
ドッグフードは、ヒトが食べない部位で作られることがあります。ヒトが食べる物は、安全基準が厳しく高価になるため、安価なドッグフードの原材料には向きません。
そのために、ドッグフードに使われる原材料が安心で安全であるという意味で、基準が厳しいヒト用の食品レベルというヒューマングレードという言葉が使われています。
記事のはじめの方でもご紹介したとおり、公式にヒューマングレードのドッグフードという基準はありません。
対して、総合栄養食には、基準があります。
ドッグフードのパッケージに総合栄養食と表示するためには、次の2つの試験が必要です。
- ドッグフードが満たすべき栄養基準の分析試験
- 実際に与えて証明する給与試験
これらの試験は、ペットフード公正取引協会が定めています。ヒューマングレードという言葉には、このような試験や基準がありません。
主にドッグフードメーカーが、独自にヒューマングレードという言葉を使っています。ヒューマングレードという言葉が、同じ意味に統一されている訳ではありません。
総合栄養食はパッケージに書かれた量で与えなければならないのでしょうか。
結論は、パッケージに書かれた給与表のとおりに与える必要はありません。
【総合栄養食の与え方】
- 犬の体重をはかる
- ドッグフードの給与表に書かれた量で与えてみる
- 1週間ごとに体重をはかる
- 体重が変わらなければ、そのままの量で与える
体重が減っていたら、フードの量を増やす
体重が増えていたら、フードの量を減らす - 1週間ごとに体重をはかって、フードの量を調整する
犬の体重が変わらない量を与えてください。
ドッグフードだけを与えている方、ドッグフード以外も与えている方、どちらのやり方にも通じるものです。
ドッグフードを食べずに困っているという相談があっても、犬の体重が増えていることがあります。
必ず給与表どおりに与えないといけないという心配があるようです。
大丈夫ですよ。犬の体重が変わらなければ問題ありません。
できるだけ犬の年齢にあったドッグフードを選ぶのがおすすめです。
総合栄養食には、ライフステージに合わせて3つの分類があります。
- 幼時期/成長期フード
- 維持期フード
- 全成長段階/オールステージ
幼時期/成長期を過ぎた維持期には、活発に活動する時期とあまり活動しなくなる高齢期があり必要な栄養素には違いが欲しいところです。
犬のライフステージ
- 小型犬(体重10kg未満)は、8歳から中高齢期、12歳以上が高齢期
- 中型犬(体重10kg-25kg)は、7歳から中高齢期、10歳から高齢期
- 大型犬(体重26kgから)は、5歳から中高齢期、8歳から高齢期
ライフステージの分け方には明確な基準はありません。
中高齢期の犬に求められる大切な栄養成分があります。
- 筋肉維持のためのたんぱく質やアミノ酸
- 腎臓のダメージを軽減するために、食事中のリンを制限
- 関節の痛みを軽減するEPAやDHAのような良質な脂質
- 活性酸素を軽減するための、抗酸化成分
中高齢期用のドッグフードには、このような工夫があるものがおすすめですよ。
犬種別のドッグフードを無理に使う必要はありません。
もっとも大きな理由は、犬種別のドッグフードがまだ少ないことで、選べるドッグフードが限られてしまうことです。
選択できるドッグフードが少ないので、いつも決まったドッグフードを選びがち。同じドッグフードだけを長期間与えることは、栄養のかたよりを考えると、おすすめできません。
他の理由には次のようなものがあります。
- 犬種ごとに栄養成分の違いがあまりみられない
- ドッグフードの栄養基準には、犬種別の違いはない
各社が出している犬種別のドッグフードを調べてみると、犬種ごとの栄養成分の違いがほぼみられません。
そして、総合栄養食は、幼時期/成長期フード、維持期フードそして全成長段階/オールステージに分けられているだけです。
犬種別には分けられていません。
犬種別のドッグフードでも、ライフステージ別に分けられた、犬種別ではないドッグフードでも、健康維持はできますよ。
ドッグフードの総合栄養食は、必要とする栄養基準を満たしていて、水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるように調整された犬用の食事です。
ドッグフードのパッケージに総合栄養食と表示するためには、ペットフード公正取引協議会が定める試験の結果、基準を満たしているという証明が必要になります。
試験には、栄養基準をもとにした分析試験と、実際に犬に与える給与試験が必要です。
総合栄養食を証明するための栄養基準や試験方法として、AAFCO(米国飼料検査官協会)のプロトコルが採用されています。
世界的に認められた小動物の栄養基準となっているのが、AAFCO(米国飼料検査官協会)の分析試験による栄養基準や給与試験の方法です。
総合栄養食の栄養基準を定めているAAFCO(米国飼料検査官協会)は、「ヒューマングレード」という言葉に否定的です。
AAFCO(米国飼料検査官協会)のコメントは次のとおり
数年前から、一部のペットフードには「ヒューマングレード」との主張がなされてきました。 動物飼料規制の中には、「ヒューマングレード」という用語に関する定義はありません。
AAFCO(米国飼料検査官協会)
実際に私が、いろいろな「ヒューマングレード」というドッグフードを調べてみた結果、「ヒューマングレード」という用語が様々な意味に使われていることがわかりました。
「ヒューマングレード」という用語は、統一された同じ意味で使われている訳ではありません。
AAFCO(米国飼料検査官協会)は、消費者が「ヒューマングレード」という用語を理解しておくべきだという立場です。
ヒューマングレードのドッグフードを選ぶ人は、本物の「ヒューマングレード」かを確かめる必要があります。
公式に認められた「ヒューマングレード」のドッグフードはありません。
これが、ドッグフードのラベルに「ヒューマングレード」と表示されていない理由です。
ラベルにヒューマングレードと記載されている場合は、その製品または成分が法的に認められた食用基準を満たしている可能性があることを意味します。
AAFCO(米国飼料検査官協会)が、「ヒューマングレード」と言われるドッグフードに対してのコメントは次のとおりです。
公式にヒトの食用またはヒューマングレードとみなされるペットフード製品はほとんどありません。
AAFCO(米国飼料検査官協会)
「ほとんどない」と書かれていますが、「ヒューマングレード」という用語には定義がないために、公式に認められた「ヒューマングレード」のドッグフードはありません。
公式な「ヒューマングレード」のドッグフードはありません。
「ヒューマングレード」といわれるドッグフードは、全て非公式なものです。
ですから、ドッグフードを選ぶときに、「ヒューマングレード」といわれるドッグフードだけを選択する必要はありません。
しかし、あえて「ヒューマングレード」をアピールしているドッグフードには、すばらしいドッグフードがあります。
- 原材料がヒトが食べても良いものばかりでできている
- 製造工場の衛生管理が、ヒトの食品加工と同等レベル
中には、「ヒューマングレード」といいながら、一部の原材料だけが、もしかしたら「ヒューマングレード」かな?というドッグフードもあるのが残念な事実です。
あなたが本当に期待するドッグフードを選んであげてくださいね。
「ヒューマングレード」という用語に否定的なAAFCO(米国飼料検査官協会)が、これなら「ヒューマングレード」だと認める基準が4つあります。
- ヒトの消費に適した製品であること
- 検査を受け、ヒトによる消費の安全を確保するための製造規制に合格していること
- 全ての成分がヒトの食用
- ヒトの食品製造、加工、または保存における適正製造基準に従っている
これらすべてを満たす製品が、「ヒューマングレード」のドッグフードだというのが、AAFCO(米国飼料検査官協会)の見方です。
「全ての成分がヒトの食用」というところが、もっとも大切だと考えています。
用語として公式ではありませんが、非公式ながら、AAFCO(米国飼料検査官協会)が認める「ヒューマングレード」基準を満たすドッグフードがあります。
Buddy FOOD (バディーフード) は、 冷凍で届くフレッシュフードです。
とっても簡単 ! Buddy FOOD (バディーフード) の試し方3ステップヒトが食べられる食材だけを使って、ヒトの食品と同じ衛生管理で作られた、本物の「ヒューマングレード」のドッグフードを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
100%全ての成分がヒトの食用。
これが、「ヒューマングレード」のドッグフードに求められる条件の一つです。しかし、このようなドッグフードはほぼありません。
原材料の一部だけにヒトが食べてもよい食材を使い、そのほかには、ヒトの食用には適さない原材料を使ったドッグフードもあります。
それでも、「ヒューマングレード」だと公式サイトに書かれているので、注意が必要です。
公式に認められた「ヒューマングレード」のドッグフードがないので、「ヒューマングレード」というドッグフードに対しては、肯定することも、否定することもできません。
しかし、本物は、原材料の100%がヒトの食品基準を満たしています。
ドッグフードおすすめの5プラス1を比較 – 獣医師が解説 –ドッグフードは、「ヒューマングレード」に限らず安全です。
ペットフード安全法で安全が確保されています。
これは、犬が生涯にわたって食べても安全だということです。一方で、AAFCO(米国飼料検査官協会)は、違う角度から「ヒューマングレード」を批判しています。
ペット用に配合された製品が人間にとって栄養的に適切である可能性は低く、またその逆も同様です。
AAFCO(米国飼料検査官協会)
これは、AAFCO(米国飼料検査官協会)が、これまで原材料の品質について述べてきた、主張とは違う角度からの意見にみえます。
「ヒューマングレード」といっても、ヒトと同じものだと栄養的に犬には適さないし、逆に犬と同じものはヒトには適さない。
また、ヒトが食べるもの全てが、犬にとって安全だとは限らないという意見です。
しかしこれは、多くの犬の飼い主にとっては常識でしょう。
AAFCO(米国飼料検査官協会)が「ヒューマングレード」のドッグフードについて、鋭く切り込んでいるコメントがあります。
製品の原材料が「ヒト用の食肉加工工場から供給された」という理由で、ヒューマングレードであると主張する製品もあるかもしれません。 しかし、ヒト用の食肉加工工場から出される原料は、食べられる場合もあれば、食べられない場合もあります。 食用基準を満たしていないために廃棄された肉片や一部の屠殺副産物は人間が食べられるものではなく、非公式にも人間向けであると示唆することはできません。
AAFCO(米国飼料検査官協会)
このコメントに込められた注意喚起は強烈だなという印象です。
上のコメントを3つのパーツに分けて、詳しく解説します。
- 製品の原材料が「ヒト用の食肉加工工場から供給された」という理由で、ヒューマングレードであると主張する製品もあるかもしれません。
ドッグフードの原材料に使われる肉類は、通常、ヒト用の食肉加工工場から供給されます。が、次の2つがあることを知っておいてほしいのです。
- ヒト用の食肉加工工場から直接ドッグフードの製造ラインに入るものも
- 一度レンダリング加工をしてからドッグフードとして使われるもの
ヒトが食べる食肉、スーパーに並ぶような食肉は、必ずヒト用の食肉加工工場から供給されます。
安全面、衛生面からみて、レンダリング加工された肉類をヒトが食べることはできません。ヒトの食用には適さないのです。
それでも、ヒト用の食肉加工工場から供給されたということだけで、原料となる肉類が「ヒューマングレード」だと言われることがあるようです。
これは、必ずしも正しいとは言えません。
- ヒト用の食肉加工工場から出される原料は、食べられる場合もあれば、食べられない場合もあります。
このコメントのとおりなのですが、ヒト用の食肉加工工場から出される原料には、ヒト用には適さないものがあります。
ヒト用の食肉加工工場から直接出される原料には、骨、内臓、毛、羽毛や、病気やケガによって、ヒトの食用には適さないので廃棄されるものもあるのです。
これらも、元々はヒト用に供されたから「ヒューマングレード」だという表現をされることがあります。
- 食用基準を満たしていないために廃棄された肉片や一部の屠殺副産物は人間が食べられるものではなく、非公式にも人間向けであると示唆することはできません。
病気やケガがあることで、ヒト用に適さない部位がある家畜もヒト用の食肉加工工場に運ばれてきます。ヒトの食用には適さないので、全部あるいは部分的に廃棄されます。
この廃棄されたものには、ドッグフードの原料としてレンダリング加工されるものがあるのです。
部分廃棄されても、ヒト用の食肉加工工場から仕入れた原料なので、「ヒューマングレード」といわれることがあります。
公式に「ヒューマングレード」という規定がないとしても、このような原料は、非公式にも「ヒューマングレード」と示唆してはいけない。というのが、AAFCO(米国飼料検査官協会)の見解です。
最高品質のドッグフードは、「ヒューマングレード」です。それも、本物のヒューマングレード。
しかし、ヒューマングレードという言葉だけでドッグフードを選ぶと期待を外されることがあります。
「ヒューマングレード」のドッグフードを選ぶときには、内容を慎重に吟味しましょう。
また、ヒューマングレードのドッグフードでなくても、良質なドッグフードがあります。
それでも、ヒューマングレードのドッグフードを選びたい。そのような方は、この記事を参考に選んでみてください。