【犬が下痢をした。6つ全ての原因ウイルス】これだけわかれば安心。獣医師が解説します。

犬のウイルス性下痢とは、ウイルス感染によって消化器症状、特に下痢や嘔吐が見られるものです。下痢の原因となるウイルスは、犬ジステンパーウイルス、犬パルボウイルス、犬コロナウイルス、犬ヘルペスウイルス、犬アデノウイルス1型そしてロタウイルスです。仔犬は特に注意が必要ですが、適切なワクチン接種で予防ができ、治療をしなくても治ることがあります。

犬が下痢をする原因には、さまざまなものがありますが、その中には、ウイルス感染症によるものがあります。

ウイルス感染症が原因で犬に下痢が起こる場合、対象の多くは仔犬ですが、免疫応答が低い場合には、成犬であっても注意が必要です。下痢の原因になるウイルス感染症は、ワクチン接種をしていれば予防できるか、多くは治療を必要とせずに治るものです。しかし、ときには仔犬、成犬にかかわらず致死的な状況になることがあります。

同じ家庭内や、仲の良い犬が同時に下痢をしても、適切な予防がなされていれば、下痢の原因がウイルス感染症である可能性は低いでしょう。

この記事では、犬に下痢を起こす6つのウイルス感染症を解説します。家庭で飼われている犬が下痢をした場合、もしそれがウイルス感染症であれば、この記事を読むことで6つ全てについて、かなり詳細な情報が得られます。

犬が下痢をした場合には、食事療法も大切です。よろしければ、おすすめの食事についても情報も参考にしてください。

このようなことはありませんか?

  • 仔犬をペットショップやブリーダーから迎えて10日以内なのに、下痢をして元気がない。
  • しばらく予防接種をしていない犬が下痢をして元気がない。
  • 下痢をして元気がない犬と接触して、1週間以内に同じような症状になった。
  • 動物病院に行くべきか、様子を見ても良いかわからない。

<動物病院に行くべきか、様子を見ても良いか>

結露から書きますと、行けるようなら行ってみるのが良いのですが、1-2日間ほどの短期間だけに起こる下痢で、犬が元気で食欲もあって、嘔吐もないのであれば、様子をみても大きな問題にはなり難いでしょう。

犬の下痢がウイルス感染症で起こることは、少なくなりました。

・仔犬のワクチン接種が広く普及している

・ウイルス感染症によっては、生まれて間もない時期に起こるのが特徴というものがあります。法律によって、この時期には、まだ一般のご家庭に迎え入れることができない時期です。このウイルス感染症を一般のご家庭内で見ることはまず考えにくいものです。

獣医師
獣医師

もしあなたの犬がウイルス感染症で下痢をしていた場合、他の犬に病気を感染させてしまうかも知れません。そのために、伝染病かどうかがはっきりとするまでは、他の犬とは距離を保つことが必要です。

目次

ウイルス性の下痢に共通する特徴

下痢を起こすウイルス感染症には、いくつかの共通点があります。

・適切なワクチン接種で予防ができます。

・犬コロナウイルス感染症のようにワクチン接種が推奨されないものでは、症状が軽度だったり、無治療で治ったりします。

・予防接種がなされていないと、ときに、致死的な状況になることがあります。

・症状が一旦改善すると、回復したり、慢性疾患に進行したりします。

・症状の改善や悪化には、犬の免疫状態が関係します。免疫状態が良いと改善に向かい、良くないと慢性疾患に進行したり、死に至ることがあります。

・消毒剤の選択では、アルコール消毒が有効なウイルスと、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)の希釈液が有効なウイルスがありますが、5つのウイルス全てに有効なのは、次亜塩素酸ナトリウムです。

ジステンパー

ジステンパーとは、犬ジステンパーウイルスに感染して起こる感染症で、発熱、食欲廃絶、鼻水、発咳、嘔吐、下痢、痙攣発作などの症状がみられます。免疫応答の強さによって、症状のみられ方が異なり、重篤な症状がみられた場合には多くが死亡します。発症した場合には回復は困難です。予防方法はワクチン接種で、発症した場合の根本的な治療方法はありません。

原因

犬ジステンパーウイルスに感染して起こる病気です。病気の犬に直接接触したり、感染している犬の尿、糞便、鼻水、目脂からも感染します。他には、空気中のウイルスに触れたり、吸い込んだりして起こります。ヒトには感染しません。

犬の免疫が十分ではないと、ウイルスに触れて症状がみられる罹患率が高い病気です。犬が軽い症状で終わるか、死に至るかは、ワクチン接種歴や免疫応答の強さで変わります。

<犬の症状を左右する要因>

・ワクチン接種歴

・ウイルス株の毒性:毒性の強い株ほど、重い症状がみられます。

・免疫応答:免疫応答が強い犬では、明らかな症状が見られません。中程度ですと、2週間ほどで治ったり、一部、ウイルスが肉球や中枢神経に留まる可能性があります。免疫応答が低い犬では、ウイルスが感染後2週間までに、体の多くの組織に広がります。

症状

主な症状は、下のとおりです。

・鼻水

・眼脂

・下痢

・嘔吐

・発熱

・食欲廃絶

・発咳

・痙攣発作

・運動障害

・元気がない

治療

入院し、他の犬と隔離します。これは、他の犬へのウイルス感染を予防するためです。

・静脈点滴を中心とした支持療法を行います。

・二次感染を抑えるために、抗菌薬を投与します。

・痙攣発作がみられた場合には、抗痙攣薬を投与します。

直接ウイルスを不活化する薬はありません。

用語解説:ウイルスを不活化→ウイルスを不活化とは、ウイルスがヒト、動物そして細胞に感染することができなくなるということ。ウイルスは生物の定義から、生きているとは言えないので、ウイルスが死ぬとは言わずに、ウイルスが不活化するという言い方をします。不活化したウイルスは、感染する力がありません。

・十分な免疫力がない犬は、中枢神経症状を発症することがあり、必要に応じて、抗痙攣薬を投与します。

予後

犬の免疫応答によって予後が異なります。

免疫応答が高い犬では、明らかな症状が見られないことがあります。

免疫応答が中程度の犬では、ウイルスに感染し、上記のような症状が見られることがありますが、14日間程度で、症状が見られなくなります。この頃には、ほとんど組織からウイルスが除去されますが、肉球や中枢神経には留まることがあります。

免疫応答が低い犬では、感染後14日間ほどで、犬の多くの組織に広がります。重篤な症状が見られた場合には、多くが死亡します。

治療中の食事

治療中の仔犬には、十分な食事を与えることが重要です。食欲がない犬には、強制給仕を行いますが、できる限り口から食事を取れるように管理します。

獣医師
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下のリンクは、ジステンパーについて、獣医師が使う専門書レベルの内容を書いた記事です。もっとジステンパーのことを知りたい方は読んでみてください。

【犬が下痢をして元気がない。原因になるジステンパーはどんな病気?】獣医師が解説します。

犬パルボウイルス感染症

犬パルボウイルス感染症とは、犬パルボウイルス-タイプ2の感染で起こる、重度の下痢や嘔吐を主な症状とする感染症です。犬パルボウイルス-タイプ2は、感染した犬の糞便や嘔吐物に含まれ、これに鼻や口で触れて感染します。発症した犬の死亡率は高く、特に生後2か月から6か月までの仔犬でよくみられます。犬パルボウイルス-タイプ2の潜伏期間は、感染後4から14日間で、その後に臨床症状がみられるようになります。治療には通常入院が必要で、積極的に治療を行った場合の生存率は90%ほどです。

感染しやすいのは、ワクチンプログラムがまだ終わっていない仔犬やワクチン接種をしていなかったり、免疫が不十分な犬です。積極的に治療をすると、回復率高くなります。また、ワクチンや野外感染による免疫が十分にない犬が感染した場合、無治療での生存率は10%未満です。

原因

犬パルボウイルスータイプ2による感染症です。ウイルスは、感染犬の糞便や嘔吐物に多く含まれますが、屋外でも、1年間も感染力を維持することがありますから、直接糞便や嘔吐物に触れなくても感染の可能性があります。

犬パルボウイルスータイプ2は、土壌中でも7か月ほど感染力を維持できますので、どこで感染したのかを特定することが困難な場合があります。

症状

症状は、特にペットショップやブリーダーから迎い入れて14日以内の仔犬にみられることが多く、ワクチン接種をしていない成犬にもみられます。

・下痢

・嘔吐

・食欲不振

・元気がない

治療

犬パルボウイルス感染症の治療は、通常、他の犬に感染しないように隔離して、入院管理を行います。下痢と嘔吐による脱水の改善を行うために、静脈からの点滴を行います。

<入院管理で行うその他の治療>

・高張液輸液

・低血糖の改善

・低カリウムの補正

・二次感染対策として抗菌薬の投与

・原虫感染が併せて起こっている場合には、抗原虫薬の使用

・吐き気、嘔吐の治療

・腹痛に対する鎮痛管理

・腸運動促進

・胃酸調整

・同時に起こっている寄生虫症には、寄生虫駆除

・低体温症には保温

・嘔吐がコントロールできたら、強制給仕

<入院管理を終えて通院管理にした場合>

・皮下点滴

・制吐剤の投与

・血糖値管理

・保温

犬パルボウイルス感染症にかかっている犬の60%ほどで、低カリウム血症がみられ、50%ほどで低血糖がみられます。低カリウムにはサプリメントが使えますし、低血糖には、コーンシロップやブドウ糖液が使えます。

予後

迅速な診断、入院、積極的な治療で80%以上の生存率が見込まれますが、死亡率が高い感染症ですので、完治までは常に注意が必要です。無治療での生存率は10%未満です。

積極的にワクチン接種をして予防をすることが勧められます。

食事管理

嘔吐を薬によってコントロールできた場合には、できるだけ早期に口からの食事を与えるようにします。

獣医師
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下のリンクは、犬パルボウイルス感染症について、獣医師が使う専門書レベルの内容を書いた記事です。もっと犬パルボウイルス感染症のことを知りたい方は参考にしてみてください。

【犬の下痢が続く。原因になる犬パルボウイルス感染症】獣医師が解説します。

犬コロナウイルス感染症

犬コロナウイルスは、若齢犬に、軽度から重度の伝染性胃腸炎を引き起こします。感染した犬のほとんどに症状は見られませんが、仔犬では急性の胃腸炎が起こることがあります。特に重症の場合には、食欲不振、嘔吐、下痢などの症状が見られることがあります。犬コロナウイルスに感染した犬のほとんどは、治療をしなくても急速に回復に向かいます。

犬コロナウイルス(Canine corona virus)は、特にヒトの間で感染が起こる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とは異なるウイルスです。

ときに重症化することがありますが、犬コロナウイルスに感染している多くの犬が無症状であり、かつ無治療で急速に回復しますので、犬コロナウイルス感染症に対して動物病院で治療を行うことはほとんどありません。

予防のためのワクチンがありますが、国際的なワクチン接種ガイドラインでは、犬コロナウイルスに対するワクチン接種が推奨されていません。犬コロナウイルスに対するワクチンは使用をできるだけ控えるか、使用しないことがおすすめです。

犬コロナウイルスが、前述の犬パルボウイルスと共に感染した場合には、犬パルボウイルス感染症が重篤化し、死亡率が高くなることが予想されます。犬コロナウイルス単独感染での影響は少ないものの、犬パルボウイルスとの感染では、注意が必要になります。

原因

犬コロナウイルスに感染して起こります。犬コロナウイルスは、ウイルスを含む糞便を口から取り込むことで感染します。糞便そのものを口にすることもありますし、糞便が付着した手足、お尻、その他生活環境中のものを舐めて感染することがあります。

犬コロナウイルスは伝染性が高く、感染犬がいる環境では、多くの犬に感染拡大が起こりますが、ほとんどの犬が無症状です。

症状

軽度の消化器症状がみられることがあります。が、ほとんどは無症状です。

・軽度から重度の下痢

・嘔吐

・元気がなくなる

・食欲不振

治療

無症状の犬は治療を必要としませんが、症状がみられた場合には、補助療法として、点滴、制吐剤そして二次感染対策として抗菌剤を使うことがあります。

予後

多くの犬が無症状で、症状が見られた場合でも、急速に回復に向かいます。

食事管理

仔犬に多い感染症ですので、十分な栄養補給が必要です。嘔吐や下痢がみられたら、治療を行い、できるだけ早期に食事を与えるようにします。

獣医師
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下のリンクは、犬コロナウイルス感染症について、獣医師が使う専門書レベルの内容を書いた記事です。多くの犬が無症状ですので、動物病院での治療対象にはなりません。犬コロナウイルス感染症について詳細を知る必要はあまりないかも知れませんが、ご興味をお持ちの方は参考にしてみてください。とても詳細な内容になっています。

【犬が下痢をした。原因は?:犬コロナウイルス感染症】獣医師が解説します。

犬ヘルペスウイルス感染症

犬ヘルペスウイルスは、犬科動物だけに感染します。感染は、生まれる時に母犬の胎盤を通じて、また、感染した同腹仔との接触など、犬と犬の間で起こります。犬ヘルペスウイルスは環境中では不安定なので、犬同士の接触以外で、何かものを介して感染することは稀です。感染が起こると、妊娠犬に流産を起こしたり、生後3週齢未満の仔犬に血便を起こしたりします。

犬ヘルペスウイルスは、高い温度に弱いために、仔犬を37℃ほどの環境に置くと、罹患率や死亡率が下がります。

妊娠犬が出産時にウイルスを排出していると、生まれる仔犬に感染する可能性が高くなります。

犬ヘルペスウイルスに感染した、生後3週齢から5週齢の仔犬にみられる症状がありますが、この週齢の仔犬は、母犬と一緒にいることがほとんどです。自宅で生まれたか、ブリーダーのところにいる時期です。

この週齢の仔犬は、法律によって販売も譲渡もできない時期ですので、一般のご家庭でみることはないでしょう。

原因

犬ヘルペスウイルスの感染で起こります。犬がヘルペスウイルスに感染するのは、感染した母犬から生まれる仔犬が、母子感染する時がほとんどです。仔犬と母犬は、胎盤を経て起こったり、膣分泌物への接触だったりで起こります。また、感染をした同腹仔との接触でも起こります。

感染時期は、生後3週間が最も一般的です。

症状

<新生仔>

母犬の胎盤を経て起こる感染によって、流産、死産、新生仔の虚弱や新生仔感染症で命を落とす犬がいます。

<3-5週齢の仔犬>

多くはそれほど深刻な症状はみられません。中には、三叉神経症、運動失調、失明など、神経に異常がみられることがあります。

<成犬>

成犬は通常無症状です。元気に見える雌犬でも、不妊、流産、死産がみられることがあります。

治療

・皮下点滴

・静脈点滴

・栄養補助

・保温

・二次感染対策として、抗菌薬を使うことがあります

予後

死産で生まれる新生仔がいる一方で、多くは深刻な症状はみられません。成犬は通常無症状です。

獣医師
獣医師

下のリンクは、犬ヘルペスウイルス感染症について、獣医師が使う専門書レベルの内容を書いた記事です。もっと犬ヘルペスウイルス感染症のことを知りたい方は参考にしてみてください。

【犬が下痢をした。原因は?】犬ヘルペスウイルス感染症を獣医師が解説します。

犬伝染性肝炎

犬伝染性肝炎とは、犬アデノウイルス1型による感染症です。感染経路は、感染している犬の尿、糞便、唾液による直接あるいは間接的な接触です。甚急性型と呼ばれる、極めて急性の型は、元気消失、嘔吐、下痢、そして発症から数時間で急死することがあります。治療は入院での対症療法を行いますが、慢性肝炎に進行する言うもいます。

犬伝染性肝炎の原因となる犬アデノウイルス1型は、環境中でも感染力があり、汚染された室内で数日間にわたって不活化されません。4℃以下の環境下では、何か月も感染力を維持します。

原因

犬アデノウイルス1型に感染して起こります。感染犬の排出する尿、糞便、唾液に直接触れたり、間接的に触れて感染します。

症状

・嘔吐

・下痢

・腹痛

・発熱

・扁桃腺肥大

・頚部リンパ節が腫れる

・横断

・眼が青くなる(角膜浮腫)

・鼻血

・元気消失

・発作

・方向感覚がなくなる

・昏睡

・急死

治療

入院管理下で支持療法を行います。

<急性期>

・点滴

・播種性血管内凝固による凝固障害には、輸血と低分子ヘパリンの投与

・低血糖にはブドウ糖輸液

・下痢には抗菌薬、嘔吐には吐き気どめ

<慢性期>

・肝炎には、慢性肝炎の治療

・食事療法

・ビタミンE

予後

甚急性は、ウイルス血症になると数時間で死に至ることがあります。致死率10-30%です。また、低アルブミン血症、低血糖症および、血液凝固障害がある場合は、診断から1週間ほどで死に至ることがあります。

軽症型や不顕性型もあり、症状が軽度だったり、何も症状が見られない犬もいて、感染後2週間ほどで回復します。

適切な治療によって回復が十分に期待できますが、黄疸や腹部膨満がみられたり、感染後の免疫応答が十分でなければ、慢性肝炎に進行する犬もいます。

獣医師
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下のリンクは、犬伝染性肝炎について、獣医師が使う専門書レベルの内容を書いた記事です。ワクチン接種が広く行われていますので、発症した犬を診察する機会が少なくなりました。それでも混合ワクチンで予防が必須とされる感染症です。もっと犬伝染性肝炎のことを知りたい方は参考にしてみてください。

【犬が下痢をした。原因は?】犬伝染性肝炎というウイルス感染症を獣医師が解説します。

ロタウイルス感染症

ロタウイルスとは、犬と猫の消化管上皮細胞に感染し、感染率が高く、子犬に下痢を引き起こすことがあるウイルスです。通常、犬では仔犬が影響を受け、猫では稀な病気です。確定診断には、検便を用いたエライザという免疫学的測定法か、電子顕微鏡を用いて便中のウイスルを直接観察する方法がありますが、現実的ではありません。

治療は、補助療法が行われ、予防に有効なワクチンはありません。

予防接種について

この項は、一般的な犬のワクチン接種のお話ではありません。犬に下痢を起こす原因となるウイルス感染症についての予防のお話です。

<ワクチン(予防接種)あり推奨>

犬ジステンパーウイルス、犬パルボウイルス、犬アデノウイルス

<ワクチン(予防接種)あり非推奨>:ワクチンがありますが、必要性に疑問があるために接種は推奨されていません

犬コロナウイルス

<ワクチン(予防接種)なし>

犬ヘルペスウイルス、ロタウイルス

ウイルスがいない安全な環境のための消毒

<どのような消毒薬が有効?>

・70%か95%のエタノール、または、0.05%の次亜塩素酸ナトリウムで消毒可能なウイルス

犬ジステンパーウイルス、犬コロナウイルス、犬ヘルペスウイルス

・0.05%の次亜塩素酸ナトリウムで消毒が可能なウイルス

犬パルボウイルス、犬アデノウイルスロタウイルス

ちなみに、市販の漂白剤で0.05%の次亜塩素酸ナトリウム液を作るのは、水1000ml(1リットル)に漂白剤25ml(キャップ1杯)を入れます。これは、市販の漂白剤の濃度を5%と想定しています。また、キャップの容量も25mlを想定しています。

環境中からウイルスを排除するためには消毒が有効です。上で、ご紹介したウイルスは、全て次亜塩素酸ナトリウム、すなわち漂白剤を希釈することで作ることができる消毒薬が有効です。

次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸水とは異なりますので、注意が必要です。ウイルスの消毒に有効なのは、市販の漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムで、これを0.05%の濃度に希釈して使います。

しかし、次亜塩素酸ナトリウムは、空気中に噴霧したり、手や指の消毒には向きません。空気中に噴霧したり、手や指に使う場合には、アルコールを使うことができますが、ウイルスの中には、アルコールでは消毒できないウイルスがあります。

もしアルコールが有効なウイルスを消毒する場合には、濃度70%から95%のエタノールを使います。

ウイルス

<アルコールで消毒できるウイルスとできないウイルス>

アルコールで消毒できるウイルスとできないウイルスは、どのように違うのでしょうか。

ウイルスは、核酸(DNA又はRNA)とカプシドと呼ばれるもので構成されています。それだけのウイルスと、さらにエンベロープと呼ばれる膜で包まれたウイルスがあります。

このエンベロープは、消毒薬に対して弱く、比較的容易に壊れてしまいます。そして、エンベロープを持つタイプのウイルスは、エンベロープが壊れると、感染する力がなくなります

エンベロープを持つウイルスに有効(犬ジステンパーウイルス、犬コロナウイルス、犬ヘルペスウイルス)

・アルコールと次亜塩素酸ナトリウム

エンベロープを持たないウイルスに有効(犬パルボウイルス、犬アデノウイルスロタウイルス)

・次亜塩素酸ナトリウム