【犬の陣痛がこない!!】子宮無力症を獣医師が解説します。

犬の難産の原因には、母体側に原因がある場合と、胎子側に原因がある場合があります。

難産の原因になりやすい方から3つをご紹介します。

・48.9% 原発性完全子宮無力症(母体側)

・23.1% 原発性不完全子宮無力症(母体側)

・15.4% 胎位異常(胎子側)

これだけで、犬の難産の原因の87.4%を占めます。

原発性完全子宮無力症

犬の難産の原因でもっとも多い、原発性完全子宮無力症とは、分娩満期での分娩を起こさせる力が子宮に起こらない障害のことです。

ちょっと噛み砕いてお話をしますと、分娩には、胎子からの信号に子宮が反応する必要があります。胎子が1頭や2頭しかなく、分娩を引き起こすのに十分な刺激を子宮に送れないときや、反対に、胎子の数が多すぎたり、胎子が大きすぎたりして、子宮が緊張し、胎子のシグナルに子宮が反応できない場合などがあります。

上記以外の原因

・遺伝的な素因

・栄養のアンバランス

・子宮筋層への脂肪の浸潤

・年齢に伴う変化(出産年齢としての加齢)

・神経ー内分泌調節の欠陥

・母犬の全身性疾患

など

自宅でできる対処法

この原発性完全子宮無力症に対して、ご自宅でできる対処法があります。これは、難産の場合、可能であれば試していただきたい方法です。

母犬に運動をさせることです。

目的は、腹部に緊張をもたらすことです。そのために、家の周りを走らせたり、階段を昇らせたりしてみます。他にも方法がありますが、これはなかなか慣れた方出ないと難しいと思いますので、あえて割愛させていただきます。

もし、それでも生まれず、難産徴候に当てはまるようであれば、動物病院に連絡を取ってから向かうようにしてください。

原発性不完全子宮無力症

これは、子宮の活動自体はあるものの、全ての胎子を正常に出産するに至らない状態です。この場合も、できるだけ母犬に運動をさせてみてください。

子犬が生まれて、次の子が生まれるまでには、1時間くらいかかるもともあり、これは問題のない範囲です。ちなみに、子供が生まれてから次までに2時間以上開くと、難産の可能性があります。1時間くらいの間に生まれる様子がなければ、運動をさせてみることも良いでしょう。これも、できればかかりつけの獣医師に相談をしながら行ってみてください。運動させるよりも早く連れてきてくださいということもあるかも知れません。

それでも生まれないようですと、帝王切開の可能性が高くなります。

まずは動物病院へ連絡を取ってから向かってください。

動物病院の獣医師は、子宮無力症の犬に対して、薬を使う方法、使わない方法で子宮に刺激を与えるかも知れません。

指を使う方法は、背部膣壁を擦ることで、子宮に刺激を送ります。これが効果を示すと、胎子の胎位や胎姿を整復して娩出させることもできます。

ときに、とても神経質な犬の場合には、精神的なストレスによる神経性の自発的分娩抑制が起こることがあります。飼い主が犬を精神的に安心させたり、獣医師による低容量の精神安定剤の処方により、その分娩抑制を解除できるかも知れません。この場合には、1匹目が生まれると、その後は順調に進むはずです。

また、子宮無力症の犬によく使われる方法は、子宮を収縮させる薬の投与です。これは、カルシウム剤とオキシトシンです。多くの難産の犬では、オキシトシン単独では、反応しないことがあるために、オキシトシンを投与する前にはカルシウム剤を投与します。

オキシトシンを使っても、30分以内に何も起こらなければ、それ以上使っても、効果は期待できないでしょう。そうなると、もし胎子を道具を使って引き出すことができれば、引き出すし、もしそれができないようですと帝王切開に移ることになります。

最後になりますが、難産傾向にある場合、その多くが子宮無力症です。これは、子宮に胎子を娩出する力が足りないか、あるいはないことを意味します。そのために飼い主さんができることは、犬に運動をさせることです。しかし、これもできるだけ獣医師と相談をしながら行ってください。

新しい命に出会えるのは、もうすぐですよ。