子犬や服従的になっている犬が、わずかにおもらしをすことがあります。動物行動学者は、これを服従性排尿と呼んでいます。
犬を取り巻く環境には、犬が群として生活する構成があり、その群には上位から下位までの位置付けがあります。下位の犬や子犬が、上位としている犬やヒトに近くときに、服従性排尿(おもらし)をすことがあります。これを上位の犬は、服従のしるしと受け取り、服従性排尿(おもらし)をした犬を下位のものとして、対応します。
この排尿は、自律神経反射によるものです。すなわち、犬にも無意識のできごとのはずです。そして、この服従性排尿(おもらし)は、そもそも服従のしるしではなかったのですが、この無意識の反応が、服従という意味として、まるで犬同士がコミュニケーションを取っているかのように使われています。
もともとは、この服従性排尿(おもらし)は、怖い相手から逃げる出すときに、膀胱を空にして体を軽くするために役立つのだとも言われます。しかし、本当に緊張している場合には、排泄のような生理機能が低下するので、この話も無条件に受け取ることは、少し難がありそうです。
上位のものは、自らの前に来ると服従性排尿(おもらし)をするものを下位のものとして扱います。これは、服従性排尿(おもらし)をする怖がり屋は、上位のものに攻撃を仕掛けたり、上に立とうとはしないだろうという表現として、服従性排尿(おもらし)をしていると受け取られているのです。
このおもらしは子犬に多く見られます。そして、月齢が進めば、成長と共に服従性排尿(おもらし)をしなくなります。しかし、服従性排尿(おもらし)をして罰を受けた子犬は、ある程度成長した後でも、服従性排尿(おもらし)を続けることがあります。
服従性排尿は、粗相とは違いますので、明らかな服従性排尿については、罰を与えないようにしてください。