犬は何かしらの仕事をして、そのご褒美という位置付けで食べ物をもらうことを好むことがわかっています。その食べ物が例え、仕事をしなくても食べられるようにしてあっても、仕事をして受け取る方を好むのです。そして、犬は毎日何かしらの食事を取るわけですから、それをトレーニンやしつけに役立てても良いのではないでしょうか。と、いうのが今回の記事です。
犬のトレーニングは、おやつを使って行うのが効果的で、犬の性質を理解した方法です。そして、ヒトが優位に立つように、いわゆる支配的にあるいは罰を使った方法でのトレーニングは、特に子犬にとっては意味がないだけではなく、子犬を萎縮させます。
できれば、犬を叱ったことがありません。と、いうくらいにトレーニング、あるいはしつけをするくらいが良いと思います。
このおやつを使った方法については、良くないという話を聞かれることがあるかも知れません。この記事では、個人の考えではなく、研究結果、実験結果に基づいた理論的なお話を取り上げています。
犬のトレーニングによく使われるのが、オペラント反応です。オペラント反応とは、良いことができたらご褒美をもらえるとか、悪いことをしたら罰が与えられるということを通して、自発的な行動を促すというものです。
このときに、悪いことをしらた罰が与えられるということで、効果的な方法がないことがわかっています。つまりは、罰で何かを教えることは、非効率なのです。
そして、良いことができたらご褒美をもらえるということで、犬に期待する動きをさせることは、理にかなっています。ご褒美を使ったトレーニング方法に反対する考えがあることは承知していますが、このご褒美を使ったトレーニングを否定るすことに根拠がないこともまた事実です。つまりは、犬のトレーニングには、ご褒美を使うべきだというのが、今回の記事の概要です。
まず、コントラフリーローディング とう現象があります。
ほとんどの動物は、単に食べ物を食べるよりも、仕事をして手に入れようとします。これは、当然、犬にも見られる現象です。
自由に食べられる食事があるにも関わらず、何か仕事をして手に入れようとします。
犬が求めるこの現象を利用してトレーニングをしない方法はありませんし、これを否定する意見はなかなか理解されないでしょう。
コントラフリーローディング へと犬を向かわせることによって、犬とヒトとの関係や、犬をしつけるという基盤ができたという考え方があります。犬にご褒美を与えてトレーニングをするか、支配をしたり罰を与えながら従わせるか、これには多くの研究で明らかになっているのは、ご褒美を用いた陽性強化の方法でトレーニングを行なった方が、良い結果が出ていて、犬にもストレスが少ないということが示されています。
そもそも、ヒトと犬との関わりは強いものですが、これは、ヒトがオオカミを食べ物を使って手なづけていったことから始まったとされています。これは、2万年から3万年前に、イヌ科動物の家畜化が始まったとされています。そして、その時のイヌ科動物の祖先とは、ハイイロオオカミ(Canis Lupus)のことです。
オオカミから犬への起源については、明確な結論はまだありませんが、オオカミと犬が遺伝的に分かれていくという変化は、10万年前には始まったとされています。そして、イヌ科動物が家畜となった最古のものは、3万年前のものとされるシベリアで発見された犬の遺骨です。
では、オオカミがどのようにしてヒトの家畜になったのかということには、2つの説があります。仮説ですが、1つ目は、オオカミの子供が捕獲されてヒトに育てられたという説です。そして、もう一つの説は、オオカミの方からやって来た。つまり、自己家畜化してきたとする説です。
オオカミが、おそらく食べるために必要な獲物がいない時期に、ヒトの社会に入って来たと考えられています。それから家畜化が進み、ヒトとの共存ができるものが生き残り、共存ができないものは淘汰されていったとされています。
食べ物をきっかけとして、ヒトの世界に入ってきた犬に、食べ物を使ってトレーニングやしつけを行うことは、それを期待している犬にとっても、ヒトにとっても良いことばかりではないでしょうか。