【子犬の心臓病】心臓に雑音がある幼犬を獣医師が解説します。

子犬に限らず、犬の心臓に雑音がしたら、獣医師はそれを6段階に分けて評価します。そして、子犬の場合、このような心臓の異常が初めにわかるのは、犬に異常が見られてからか、あるいは、ワクチン接種などで訪れた動物病院で獣医師が聴診器を当てたときです。いわゆる偶発的な発見が一般的です。

そして、家族に迎えたばかりの子犬に、心臓という極めて大切な臓器の異常が見つかることは、家族を悲しませることになります。このときの獣医師はアドバイスが、少しでも家族の救いになればという思いでサポートを始めることになります。

グレード説明
1聞こえたり、聞こえなかったりする。心音よりも小さな雑音で、聞こえる領域が狭い。
2連続して聞こえるが、聞き取りづらい。心音よりも小さくて、聞こえる領域が狭い。
3心臓から聞こえる雑音の大きさは、心音と同じくらいで、領域は狭いこともあり、ある程度広い範囲からも聞こえる。
4雑音は、心臓の音よりも大きく、容易に聞き取れて、ある程度拡散する。
54と同様で、スリルという特徴的な音を伴う。
65と同様で、心雑音が聴診器を胸から離しても聞こえるほど大きい。

子犬に、このような心雑音が聞こえたら、心臓の病気、特に先天性心疾患を疑います。獣医師は、この雑音が、心臓の拍動のどのタイミングで聞こえたのか、心臓のどのあたりから聞こえたのかで、心臓に起こっている異常にあたりをつけます。

先天性心疾患には、次のようなものがあります。

僧帽弁形成不全、僧帽弁狭窄症、肺動脈弁狭窄(先天性心疾患全体の約32%)、ファロー四徴(先天性心奇形の約1%)、大動脈弁狭窄(全先天性心疾患の約20%)、大動脈弁および肺動脈弁閉鎖不全症、動脈管開存症(先天性心奇形の約20%)、三尖弁形成不全(先天性心疾患の約3%)、心室中隔欠損(先天性心疾患の7.5%)、

心雑音が聞こえる子犬は、運動不耐性と呼ばれる、動いたり運動をしたりするときに疲れやすくなっています。また、呼吸数が多すぎないか、特に安静時の呼吸数には注意が必要です。この安静時呼吸数は寝ているときに測定されますので、ご家族の協力が必要です。また、あらゆる心疾患では、咳が認められることがあります。

状態を把握するためにもう一つ、舌の色です。子犬のご家族に、日頃から、舌の色を意識してもらうことで、良い時とそうではないときの判断する目安にしていただいております。

子犬の心疾患は、心臓の雑音で見つかることが多いのですが、その先の診断は心臓超音波検査が必要になることが多く、その他には、胸部X線検査、血管造影検査、心電図検査が有用です。そして、これらの検査は、心疾患の状態を把握するために、定期検査でも実施されます。