【犬の急性湿性皮膚炎】ホットスポットと呼ばれる、急な脱毛を獣医師が解説します。

この皮膚炎は、急に起こります。多くは、何となく体を掻いたり舐めていたのは気づいていたけど、気づいたら大きな脱毛になっていたとか、その脱毛箇所がジュクジュクしたり、ベタベタしたり、そして赤くなったりします。

ちゃんと治ります。犬の急性湿性皮膚炎(ホットスポット)の多くは、1週間から2週間くらいで治りますが、ときにはそれ以上の治療期間が必要なことがあります。

原因になるのは、次のようなものです。

アトピー性皮膚炎、食物不耐性(食物アレルギー)、ノミアレルギー、耳ダニ、毛包虫、疥癬、感染、によるものや、外傷、異物、外耳炎や肛門嚢炎に続いて起こることがあります。

治療方法

まず患部をきれいにします。脱毛しているところに、周りの毛が張り付いていることが多いので、毛刈りをしてから、脱毛箇所を優しく洗浄します。洗浄には、消毒薬や薬用シャンプーを使うことがあります。脱毛しているところでは、ブドウ球菌と呼ばれる細菌が増えていることが多いので、それに対する消毒液やシャンプーとして、クロルヘキシジンと呼ばれる成分が入っているものが使われます。

ときに、消毒を大変に痛がることがありますので、犬に鎮静をかけてから行うことがあるようですが、私はもし鎮静をかけないと洗浄できないくらいに痛がるようでしたら、初日は薬だけを使って、翌日になって、ある程度痛みが減ってから消毒やシャンプーを行うようにしています。

治療のために使う薬は抗生物質が基本ですが、痒みが強いようでしたら、痒みや炎症を抑える薬も合わせて使います。これらは、注射だったり、飲み薬だったりします。

追加で使うのは、抗生物質やかゆみ止めが入ったスプレーです。

また、掻き続けないように、エリザベスカラーを使うこともあります。

私がこの急性湿性皮膚炎を見るのは、ゴールデンレトリバーです。もちろん、どのような犬種に見られますから、ゴールデンレトリバーではないから心配ないというわけではありません。次には、芝犬のように、ある程度毛が密に生えている犬も多く診察をします。

そして、ときにこの皮膚炎は繰り返しますが、繰り返す頻度は高くはありません。