猫パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)
主に子猫の病気ですが、成猫も罹患します。
子猫に見られる症状は、次のようなものです。
発熱、元気消失、全く食べなくなります、嘔吐、下痢(血液混じりの下痢をすることがあります)、重度の脱水、最終的には急死もありますし、回復もあります
非常に強い伝染力
非常に強い伝染力があるウイルスです。急性の嘔吐と下痢がみられます。血液中の白血球が減少します。かなり高い致死率です。
病気の原因
パルボウイルス科パルボウイルス属に属する直一本鎖DNAウイルスです。犬のパルボウイルスとも関連をもち、白血球減少症の猫の体内からも犬のパルボウイルスが検出された事があります。猫パルボウイルスは、感染している猫の糞便、尿、血液を口や鼻から摂取して移ります。
移ってから病気が見られるまでの潜伏期は、4-5日ですので、ここからどこで感染したのかを推測することもできます。
もっとも感染しやすいのは、3から5か月齢の子猫です。その月齢以外の猫にも感染します。
診断はどうするの?
血液検査でわかること:白血球減少症、貧血、血小板減少症、肝酵素の上昇(GPTやGOTなどが上がり)、高窒素血症(BUNが上がる)、電解質バランスが崩れる。
特異的検査:犬のパルボウイルス検査キットを使って、猫のパルボウイルス感染症の検査が可能です。通常は糞便検査でわかります。
便からのウイルス分離:一般的ではありません。
猫パルボウイルス感染症に見えるけど、違う病気(鑑別診断リスト)
小腸への細菌感染、敗血症、寄生虫症、猫白血病、猫コロナウイルス感染症、腸閉塞
猫パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)の治療
猫のパルボウイルスを原因から治療する方法はありません。このような場合には、補助療法を行います。
まず、中程度から重度な嘔吐が見られる場合には、水も食事もとらないようにします。
次に点滴をしますが、脱水が激しい場合には、皮下点滴というものでは十分ではないために静脈からの点滴を選択します。
吐き気どめが必要な場合には、薬を使います。
血便や白血球(好中球)減少症があれば抗菌薬を使います。
胃腸の働きが低下している場合には、H2ブロッカーという薬で補助します。
さらに追加の治療として、口からではない経鼻などのルートからの栄養の補助を行います。
この場合には、輸血も一つの選択になります。
嘔吐がみられなくなって食事制限を解除した後の回復期には少量の水から初めます。
猫パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)に効果的な消毒
次亜塩素酸ナトリウムが効果的です。これは、漂白剤の成分ですので、希釈して消毒に使います。
予防方法
そして、もっとも大切なのは予防です。猫パルボウイルス感染症にかかる前であればワクチンがあります。ワクチンは治療薬ではないために、病気がわかってからの治療中には使えません。
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