【犬のALPが高い!!】アルカリフォスファターゼが高いとき。獣医師が解説します。

犬のALP(アルカリフォスファターゼ)

犬の健康診断やその他血液検査で、ALP(アルカリフォスファターゼ)が高いと言われた方はかなり多いのではないでしょうか。

結論から書きますと、ALP(アルカリフォスファラーゼ)だけが高く、GPT(ALT)、GOT(AST)が正常値、そして、犬がとっても元気で食欲もある場合、治療が必要なことはまずないでしょう。もちろん、例外はあるとは思いますので、絶対とは言えませんが、ほとんどの場合、問題ないはずです。

そして、ALP(アルカリフォスファターゼ)が高いのは、肝臓に問題があるからだとか、胆嚢に胆泥(たんでい)と呼ばれるものが溜まっているからだとか、言われることがあります。元気そうに見える犬の肝臓に問題があると言われると、心配になりますよね。

そのようなこともALP(アルカリフォスファターゼ)が高い原因のかも知れませんが、ALP(アルカリフォスファターゼ)が高い原因には、肝臓型骨型ステロイド誘発型があり、もう少し踏み込んだ検査を行わないと、それらの区別はできません。

ALP(アルカリフォスファターゼ)は、病気のときにも上がりますが、例えば若齢犬のように病気ではないときにも上がります。そして何かしらの病気であっても、ALP(アルカリフォスファターゼ)の測定結果が高ければ高いほど重い病気であるという訳ではありません。

もし、他の検査結果は正常で何も臨床症状がなく、ALP(アルカリフォスファターゼ)だけが高い場合には、あまり心配のないことがほとんどです。このような場合、すなわち、他の検査結果は正常なのに、ALP(アルカリフォスファターゼ)だけが高い場合に肝・胆・消化機能改善剤などの薬を処方されるとかなりの長期間にわたって飲ませ続けることになるかも知れません。そして、それはもしかしたら必要のない薬かも知れません。

ウルソデオキシコール酸は、利胆剤と呼ばれる薬で、肝臓や胆嚢の病気のときに使います。しかし、ALP(アルカリフォスファターゼ)は、肝臓や胆嚢の病気の時だけ高くなるわけではないのです。ALP(アルカリフォスファターゼ)が高いから、肝臓や胆嚢に問題がある。だから肝・胆・消化機能改善剤というのは、少し短絡的かも知れません。

私は血液検査でALP(アルカリフォスファターゼ)が高い犬で、肝臓・胆嚢の病気があり、必要だと判断すると肝・胆・消化機能改善剤を処方することがあります。当然ですが、肝・胆・消化機能改善剤は大切な薬で、血液検査でALP(アルカリフォスファターゼ)が高い犬の中には、肝・胆・消化機能改善剤が必要な犬は多いでしょう。ただ、ALP(アルカリフォスファターゼ)が高い犬の全てに必要という訳ではないということです。

ALP(アルカリフォスファターゼ)が高い犬で、肝・胆・消化機能改善剤が必要な犬は多いでしょうが、必要ではない犬もいるということです。それは、ALP(アルカリフォスファターゼ)がなぜ高いのかという原因によります。

犬の血液検査(肝臓)

よく肝臓の病気を調べるために、獣医師がみる項目があります。GPT(ALT)、GOT(AST)などです。これらは、逸脱酵素と呼ばれます。特にGPT(ALT)は、体の中では肝臓の細胞中に多く存在します。そして肝臓の病気や肝臓の細胞に障害が起こると、肝臓から逸脱して血液中に増える酵素です。

ALP(アルカリフォスファターゼ)は、GPT(ALT)やGOT(AST)のような逸脱酵素ではなく、誘導酵素と呼ばれるものです。ALP(アルカリフォスファターゼ)は、逸脱酵素が障害が起こらないと逸脱しないのに対して、病気でもそうではなくても誘導されるものです。

GPT(ALT)やGOT(AST)は逸脱酵素

病気のときに上がる。

ALP(アルカリフォスファターゼ)は誘導酵素

病気のときにも上がるけれども、例えば若齢犬のように病気ではないときにも上がる。

ALP(アルカリフォスファターゼ)は、肝臓・胆管をはじめ、腎臓、骨など全身の臓器に分布しています。ALP(アルカリフォスファターゼ)は、血液検査で測定されて、肝臓・胆管系の評価に使われることが多い酵素です。そして、肝臓や胆嚢の病気以外でも、骨の病気や色々な薬の影響で上がることがあります。

犬のALP(アルカリフォスファターゼ)が高い値を示す原因

ステロイドの投与、抗てんかん薬の中には飲み続けることでALP(アルカリフォスファターゼ)が上昇するものがあります、副腎皮質機能亢進症、急性肝炎、慢性肝炎、糖尿病、胆嚢の粘液水腫、若齢(若い犬というだけで高い)、骨腫瘍など

ALP(アルカリフォスファターゼ)アイソザイム分画って?

犬のALP(アルカリフォスファターゼ)が高い値を示す場合には、前述のとおりに肝臓型か、骨型か、あるいはステロイド誘導型かを分けることができます。ALP(アルカリフォスファターゼ)アイソザイム分画という検査です。これは、血液検査ですので、一般的な血液検査でALP(アルカリフォスファターゼ)が高かった場合で病気を疑う場合には、ALP(アルカリフォスファターゼ)アイソザイム分画を調べてみるとわかることが格段に増えます。

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下の画像では、犬のALP値が高い原因を網羅的に紹介しています。血液検査の結果で犬のALP値が高い場合に、私が日頃考える原因リストです。汚い文字はご容赦ください。

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