日本橋動物病院だより

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ほぼ日帰り上海【前編】

今年の梅雨は雨続きで、気持ちも沈み気味になりますから、努めてそうならないようにしたいものです。難しいですけど。そしてこんな日に窓を少しだけ開けて寝たのですが、この気温差でノドの調子がよくありません。不養生でしたね。お恥ずかしい限りです。本当に。少し前のことですが、ほぼ日帰りで上海に行ってきました。

羽田を出たのが、深夜の2時ごろで、羽田に帰ってきたのが、翌日の早朝5時です。24時間プラス3時間。ほぼ日帰りでした。

でも、できるものですね、こんな強行軍。

初めての上海をとっても満喫して帰ってきました。そして、これは初めての中国でもありました。

上海にお住いの方で、東京でもお仕事をされていらっしゃる中国人の方から、かねてから相談を受けていました。お腹の調子が悪かったり、デキモノができてしまったり、健康に大きく影響をするわけではありませんが、ちょっとしたことをお話ししていました。

お薬の処方箋と言いますか、こんなお薬が効きそうだと思うとお話ししたり、治療のためのドッグフードをお勧めしたりしていました。

お住いが上海の空港から近いところだとのお話しを伺っていましたので、行きやすいところのようですし、いつかは実際にこの犬君に会いたいものだと思っていました。そして、この犬君もだんだんとお年を重ね、できるだけ早くに会いたいと思っていました。

しかしながら、人的時間的なリソースに余裕がありませんので、どうにか日帰りできないかを模索していました。そこで、LCC利用でほぼ日帰りができそうだとわかり、早速上海に行ってみることにしました。LCCはアメリカでもオーストラリアでもお世話になったことがあります。あまり心配はありませんでした。

上海の犬君の飼い主さんのお仕事の邪魔にならないように、「上海に用事があって行きますが、ちょっとだけ会わせてもらえますか?」とお伝えしました。1時間ほど時間を作ってもらって、犬君に会わせてもらって、その後は一人で適当に上海の街を探索して帰ろうという予定でした。

まあ、お見通しですよね。犬君に会いに行くのが目的だということが。

その日はまるまる上海の街をご案内していただくことになりました。本当に心苦しいかったです。これなら、そんな早朝に到着する便を選ばなければよかったと後悔もありました。それにしてもありがたかったです。英語はちょっとだけ話せますが、その他の国の言葉は全くわかりません。特に中国語に関する知識は皆無です。

そのようなわけで、上海に着くのは早朝の5時なのですが、そのお時間に空港に迎えに来てくださることになりました。とてもとても心苦しく、勝手にそんなおかしな予定を作ったのは僕ですから、少なくても到着から朝8時か9時ごろまでは適当に時間を作り、できれば犬君のお家までどうにか行ってみようかとも思っていましたが、到着し次第にお迎えに行って、朝食をご一緒にということになりました。

朝食をご一緒させていただき、次に小籠包の発祥のお店に連れて行っていただきました。上海古猗園餐庁です。まだ早い時間ということもあり、混雑することなくお店でゆっくりと食事ができました。それはとてもとてもおいしい小籠包でしたよ。正直、小籠包はあまり食べた経験がなく、小さな肉まんくらいの印象でしたが、やはり違う食べ物でしたね。

その後で、犬君に会いに、犬君ご家族のお家へ連れて行っていただき、上海にあるとっても広いお家を案内していただきました。犬君はシニアですが、とっても綺麗にお手入れをされていて、のびのびとした環境で生活をしていました。ご家族の気になられているところや、ご心配なところを伺いつつ、いろいろと触って診察をさせてもらいました。

そこからはまた移動して上海観光の続きです。交通は、基本的に高速道路を使っての車移動なのですが、そこで知ったことがあります。上海の高速道路は、慢性的な渋滞があり、その解消策としてナンバープレートによる交通規制があるのだそうです。上海ナンバーですと「沪」と書かれています。この文字が書かれていると、いつでも高速道路を利用できるようですが、そうではない車ですと、時間帯によっては高速道路に入れないか、あるいは有料なのだそうです。

そして、このナンバープレートは、日本円で100万円以上するそうで、そんなに高いナンバープレートですから、自ずとみなさん、それを上回る高級車に乗られるようでした。上海の高速道路で多くの車を見ながら、すごいなーなんて思いながら初めての上海で、現地にお住いの方と一緒ではないとこんな情報もわからないな、などと思いながらありがたい気持ちでいっぱいになりました。

次には豫園に連れて行っていただきました。古い町並みだったり、新しい建物だったり、上海の一部ではありますが、上海が好きになりました。上海に来る前に、当院をご利用される方の中から上海出身の方が何名かいらっしゃいまして、その方に上海のお勧めの食べ物を聞きました。その方に勧められたのは、焼き小籠包です。初めて聞きましたが、とても興味を持ちました。そのお話は事前にしていたので、豫園で早速連れて行っていただきました。豫園には、焼きではない小籠包で有名なお店があるのですが、発祥のお店にはすでに連れて行っていただいていましたので、ここでは焼き小籠包メインになりました。

朝からずーーと食べ続けていましたので、1個1個は小さな焼き小籠包でも、とても大きく見えてしまい、食べられるかなー?などと心配下のですが、ペロッとお腹に収まってしまいました。

それにしても、この日帰りの旅では、犬君のご家族、犬君に当院をご紹介していただいた方が東京から来ていただいていて数日前から上海入りされていましたし、さらには各地に連れて行ってくださるドライバーさんにも終日お世話になるなど多くの方のまるまる1日のお時間をご負担してもらうことになりました。僕の行き当たりばったりの上海旅行の当初の計画を大きく上回る充実した日になったことは言うまでもありません。

夕食は、かつて住まれていたと言う街のレストランに移動しまして、とても食べきれないくらいのご馳走を振舞っていただきました。

次は何泊かするつもりでいらっしゃいと言っていただき、どのように感謝すれば良いかわからないくらいの楽しい時間を過ごすことができました。

上海の空港に送っていただき、深夜の便で羽田へ向かいました。羽田着は早朝の5時。アメリカから帰ってくるときも、いつもだいたいこのくらいの時間です。そして、そのまま朝の診療までに日本橋の動物病院へ戻ります。この日も、帰ってから毎日治療を必要とするワンコと約束をしていましたので、戻ってから診察だったのですが、その飼い主さんは、まさか上海から帰ってきたばかりとは思われていないはずでした。

上海では、犬君が普段行かれている動物病院にも連れて行っていただきましたので、次回はそのお話を書きますね。