謹賀新年
新しい年になりました。
東京は曇ってますね。
ときどき差す日光に何となく新しい年が明けた感じがしています。
てんかん発作がみられるワンコが来院しました。
てんかん発作は、大脳の病気です。
はじめに症状がみられたら、問診を中心とした診察を細かく行います。その後で必要な検査をします。
必要な検査としては、MRI検査、血液検査、尿検査、髄液検査、脳波検査などがあります。毎回全てを行うわけではありません。
そして治療の中心は、薬物療法です。抗てんかん薬を使います。
てんかん発作を初めて見たご家族は、とても驚かれます。
当然だと思いますね。
あれっ?あれっ?と思っている間に、意識を失って、発作が始まり、多くの場合には数分ほど続きます。その後はケロッとして、まるで何事もなかったかのように、いつもの様子に戻ります。
これを止めるために、抗てんかん薬を使うのですが、薬があっても発作が見られることはよくあります。もちろん、発作の回数は減りますし、軽くなりますし、全く発作がみられなくなることも多いことです。
今回のワンコは、飼い主さんと一緒に年末を過ごしているときに、重積状態と言われる発作の頻発が起こりました。
年末年始のこの時期に受付を行っている動物病院が少ないことは、病気のどうぶつを抱えるご家族にとって大きな心配になっているはずです。このワンコのご家族もその一人でした。いつもは発作のことを考えなくてもよく過ごせていたのに、よりによって大晦日に単発ではなく、重積状態になるとは、大変不安そうでした。
まさか電話がつながるとは思いませんでした。
そうお話しくださいました。
お電話があって、すぐに来院していただいた訳ではありません。ご家族の方のご都合もあり、すぐに来院していただくことができなかったので、まずは、お持ちのお薬でどうにかできないかを試していただきました。いつもとは異なる使い方をお願いしてみました。
それでも数時間毎の発作は止まることはなく、2-3時間ごとに繰り返されました。
そうする中で、来院していただける時間になり、必要な抗てんかん薬の静脈注射を行いました。
「すみません、今日は僕だけしか病院にいないので、注射をするときに抱っこしておいてもらえますか?」そのようにお願いして来ていただきました。
わずかな量の薬でしたが、その後今日まで発作は見られていません。まだ24時間ほどしか経ちませんが、おそらく治ったと考えても良いと思います。
抗てんかん療法には、ときに試行錯誤が必要です。
どのようなどうぶつにも、必ずこうやったら発作は起こりませんというような治療方法が1つしかないということはありません。どうぶつの数だけとは言いませんが、それぞれにあった治療が存在し、さらには、その治療さえ行っていれば、もう大丈夫とも言えません。
ずっと大丈夫だったのに、発作が数年間なかったのに、抗てんかん薬は使っていたけど、忘れかけていた発作が久しぶりに起こるということはよくあります。そのときに、それまでの治療が間違っていたとは言えません。どちらかというと、どうぶつの側に変化が起こったと考えるのが自然かも知れません。
このワンコのご家族は、大晦日なのに申し訳ない、電話がつながってよかったとお話しされていました。病気は日時を選びません。かと言って、24時間いつでも対応が可能ではありません。お約束している診療時間以外では、できる限りという、心許ない対応しかできませんが、それでもできる限り対応させていただきたいと考えています。
2019年が、皆様にとって素晴らしい年になりますようお祈り申し上げます。
それをどうぶつの健康という面で少しでもお手伝いできますよう獣医師、動物看護師共々努めてまいります。