日本橋動物病院だより

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とっても元気になりましたよ。 - 犬の糖尿病 –

今年も終わりますね。

12月31日。今年も終わりますね。

今年は色々と挑戦の年でした。これまでやっていなかったことを始めたり、はじめる準備をしたりしました。
明日から始まる新しい年には、この1年間に蒔いたタネが、発芽する予定です。楽しみです。

特に年の締めくくりとは関係なく、いつものように書いています。

お水をたくさん飲むワンコが来院しました。当然ながら、オシッコも多くなっています。
このような場合、まず考えるのは、飲んでいる水の量が本当に異常な量なのかどうかです。以前よりは多くはなったけど、問題のない量ということもあります。

お話を聞きますと、飲んでいる量は、正常レベルよりも明らかに多くなっているようです。
次に考えるのは、鑑別診断です。
お水をたくさん飲むという病気にはいくつかあります。

糖尿病

副腎皮質機能低下症

副腎皮質機能亢進症

下垂体性尿崩症

慢性腎不全

甲状腺機能異常

子宮蓄膿症

子宮内膜炎

慢性肝疾患

ファンコニー症候群

ナトリウム過剰摂取

心因性多渇

これらの中から、該当するもの、しないものを選び出します。

そのために検査が必要です。

とは言え、おおよそ見当をつけているのは糖尿病と副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)です。

身体検査では、糖尿病か副腎皮質機能亢進症が疑われました。
まずは血液検査、尿検査そして腹部超音波検査を行います。
検査項目には、通常の検査に血清サイロキシン(T4)濃度とACTH刺激試験も追加しました。
血清サイロキシンは、甲状腺機能をみるためのもので、ACTH刺激試験は副腎皮質機能をみるためのものです。
その結果、多くの病気が除外され、糖尿病だけが残りました。
実はどちらかと言いうと、副腎皮質機能亢進症の方ではないかと予想していました。
血糖値が高いことは早めにわかったのですが、副腎皮質機能亢進症でも高血糖は起こります。糖尿病ではなく、副腎皮質機能亢進症による高血糖ではないかとも考えていました。

結果は、「糖尿病」。
副腎皮質機能亢進症は否定、その他の病気も否定できました。

飼い主さんはいろいろとご心配され、病気だという話の時には涙されていました。
糖尿病であっても、副腎皮質機能亢進症であっても、生涯の治療が必要になります。
長く生きることができないのではないかという心配です。

いろいろな思いがめぐり、あれが良くなかったのではないか、こうしてあげておけば良かったのではないかという後悔がおありのようでした。
もちろん、飼い主さんにできた予防策はありません。
とっても可愛がっていらっしゃるのは、僕を含め、誰の目にも明らかでした。

食事にはとても気を使っていらっしゃって、だからこそ、なぜだろうと言う思いがおありのようでした。

犬の血糖値はおおよそ80mg/dLから140mg/dLほどです。

これが糖尿病治療では、1日をとおして、100mg/dLから300mg/dLほどに維持できればよいですので、ここを目指してインスリンの量を調整します。

低血糖にならないように注意をしながら、適正な量を決めるために、朝から夕方までお預かりをしました。これを数日行い、おおよそどれくらいのインスリン量で安定するかがわかったので、飼い主さんには注射の説明をして、翌日からはご自身で注射をしていただくことになりました。

このワンコは、一人っきりになることは滅多になかったようで、病院での朝から夕方までのお預かりもとても心配されていましたが、結構平気そうで、特別に不安がっている様子もなかったために、飼い主さんのご心配も解消されました。

数日後に血糖値をモニタリングするために、再度来院していただきましたが、治療開始のときの飼い主さんのご様子と違って幾分安心されているようにみえました。
病気の治療中ですから、本当の安心はまだ先なのでしょうけれども、笑顔で様子をお話くださるのを聞きながら、こちらもまずはひと段落かなと思いました。

これからも治療が続きますが、細かな血糖値モニタリングもできそうですので、長期予後としてよいことを期待しながら進めてみることになります。

いろいろと慌ただしい年でした。

今日は大晦日、とてもよい天気になりましたね。

皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。