日本橋動物病院だより

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アメリカに行ってきました。- 2018年9月関節鏡コース – その1

9月16日(土)の夜から20日(木)までかけて、アメリカに行ってきました。関節鏡コースの取得です。関節鏡は、まだあまり馴染みのない医療機器かも知れません。特に使われるのは、膝関節です。犬の整形外科疾患で最も多いとされるのが、前十字靭帯の損傷・断裂です。その時に、膝関節にある半月板という組織にもダメージが及ぶことがあります。この半月板をできるだけどうぶつの負担を少なくして治療するときに必要なのが関節鏡です。

今年2018年10月に関節鏡以外に当院に導入するのが、内視鏡、腹腔鏡です。
それぞれの最も大きなメリットは、どうぶつ達の負担をかなり少なくできるというところです。大きく開けなければならなかった手術を小さな切開で行うことができます。次のメリットは、全てにそれぞれのカメラがついていますので、かなり拡大した映像をみながら検査や治療ができるところです。内視鏡だけは今でもありますが、一新します。

半月板の損傷の程度を検査するときに、関節鏡と関節鏡を使わずに大きく切開して目視した場合とを比較しても、これは顕微鏡と肉眼の比較のようなものですので、どちらが良いかは明らかです。大きな問題は、かなり高額な機器だというところでしょうか。

動物病院の場合には、専門科が別れているわけではありませんから、関節鏡を使う機会がどれくらいかは、なかなか予想できません。日々、お腹を壊した子、皮膚炎でかゆみが酷い子、咳をする子、歯周病治療が必要な子、足を怪我した子、眼球に傷がついてしまった子、などなど、いろいろな病気をみるのが獣医師です。整形外科疾患の実績からある程度は推測できますが、多くはありません。それを考えますと、この設備にかかる費用は、常識的ではありません。

しかし、必要な方に、必要なことをご提供するためには、用意するべきだと考えています。

当院に来られるどうぶつ達の中で、関節鏡、腹腔鏡、内視鏡とは生涯無縁の子が、それらを必要とする子よりも圧倒的に多いこともわかっています。必要ないどうぶつ達には、その設備があることは大切なことではありませんし、全くの無関係です。

僕はよく整形外科手術を行いますが、その中には特に難易度の高いものもあり、それでも、必要などうぶつは限られますから、当院をかかりつけにしてくださっている方々でも、生涯にわたって、僕がそんな手術をすることなど知ることのない方の方が圧倒的に多いのが現状です。

それでも、しっかりと技術や知識や設備を用意したいという思いがあります。本当に必要なときに、事前準備がなければ間に合いませんから。

今回のアメリカ行きも、悩んだ結果の参加決断になりました。これまで関節鏡がなかったことで、見落としたり、できなかったことはありません。本当にアメリカまで行って習得する必要があるのだろうかという迷いです。ただ、関節鏡に関する平均的な知識を持たないまま、今後のその必要性を否定はできないとも思いましたし、これからも特に力を入れて行きたい整形外科では大切なアイテムには違いありませんので、結果的には必然だったと考えています。