日本橋動物病院だより

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クッシング症候群


サクラが散った後にも降るんですね。
以前に東北で生活をしていた頃に、サクラ満開の枝に降り積もった雪がとても新鮮だったことを思い出しました。

クッシング症候群という病気があります。
これは腎臓の近くにある副腎からホルモンが過剰にでてしまうことでいろいろな症状が引き起こされる病気です。

主な症状は水をたくさん飲む、そして尿の量や回数が多いというものです。
この、飲水や尿についての症状は他の多くの病気でもみられますので、それだけでクッシング症候群と決めつけることはできません。

診断にはいくつかの方法がありますが、このひとつの検査をすれば100%はっきりと白黒つけられるというものはありません。
大切なことはいろいろなことを総合的に判断したり、いくつかの検査を組み合わせることです。
血液検査、超音波検査、ACTH刺激試験、低容量デキサメサゾン抑制試験と呼ばれるものです。時に、CTやMRIも有用です。

クッシング症候群で過剰になるホルモンはストレスホルモンとも言われます。
これらの検査のときには、できるだけ他のことを止めて、ストレスをかけないようにすることも検査結果正しいものにするためには必要です。

いろいろな情報はインターネットにもあるかも知れません。
今回、この病気をお伝えしたかったのは、この病気になるとどうなるのかということです。

いわゆる予後です。
クッシング症候群にも分類があります。
多くの子(クッシング症候群の子の80-85%)にみられるのは下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)と呼ばれるものです。
このPDHの場合、ワンコの年齢や治療方法にもよりますが、平均的な生存期間は30か月ほどです。

この病気になってもとても元気に見えるので、予後を意識しないで治療を続ける飼主さんもありますが、実はこのような統計があることも確かなことですので、このことを知りながら治療や検査をすることも大切だと思っています。

当院でも少なからず治療を継続している子がいます。
診断につながる検査はとても簡単なものですが、診断を立てるまでは慎重に行っています。
ひとつの検査結果で短絡的に決めつけるのではなく、いくつかの検査を組み合わせて判断するようにします。
飼主さんと病気のことや治療のことをしっかりとお話をして、そして予後のこともお話をして。

若い子ですと5年以上の生存ができることもあります。
それでもお別れは突然です。

次のブログで、クッシング症候群で僕のなかで印象深い子のお話をご紹介させてもらいますね。

それにしても、今日が休診日でよかった。
雪はもう止んだかな?
皆様お風邪等ひかれませんように。