渡米 -かなり専門的なお話-
冬の装いを見る機会が増えてきました。
僕はまだユニクロ厚手のパーカーですが、もうちょっとこれだけで頑張ってみるつもりです
来月12月4日(木)から9日(火)までアメリカで行われます外科コースに参加するために園田が不在です。
留守中は代わりの獣医師が診療を担当いたします。
今回は上の期間に2つのコースに参加します。
僕はあまり専門用語を使ってお話をすることが好きではありませんが、今回ブログ記事には医学的な専門用語がいくつかあります。
2つのコースのひとつ目は12月4日-5日に行われますWVC(Western Veterinary Conference)アカデミーの「トイ犬種と猫の骨折整復」です。もうひとつは、8日-9日に行われるAOVETの「獣医脊髄神経疾患の新しい手術手技」というものです。
どちらもネバダ州ラスベガスで行われます。
WVCアカデミーの方は前足、後足の全ての骨の骨折と、膝のお皿の脱臼や、膝の靭帯の損傷等、かなり盛りだくさんの内容です。このような内容を2日間で行うことは国内ではまずありませんし、実際の手術を行い、仕上がりをレントゲンで確認しながら検討会を行うこのタイプのコースはとても有意義です。
講師の先生は世界的にも有名な先生で、以前にもTPLOという膝の靭帯の手術コースでおせわになりました。日本がお好きなようで、日本語で書かれた名刺をいただいたことがあります。
AOVETのコースは脊髄神経疾患です。
主に頸椎の不安定症や、背骨の骨折、そして馬尾症候群と呼ばれる頭から尻尾までの背骨の安定化術がメインテーマです。
そのためには、コースに参加するために必要な基本的な知識と手技としては、頸椎の椎間板ヘルニアの手術手技であるベントラルスロットと呼ばれるものや、胸部、腰部の椎間板ヘルニアの手術手技の片側椎弓切除術、小範囲片側椎弓切除術、コルペクトミー(椎体切除)などの手技があります。
このコースは、アメリカの獣医神経外科専門医(ACVS or ACVIM Neurology Diplomates / Surgeons)を対象としたものですし、それ以外にも参加するためにはいくつかの条件がありますので、日本人の僕が参加するのはどうかと思いましたが、事務局に相談すると参加してもよいという返事をもらうことができました。
AOVETはもともと骨折治療のコースで有名です。
僕も国内の骨折整復コースには基礎、応用、どちらにも参加しました。
脊髄神経の外科は滅多に開催されませんので、とても貴重な機会になりそうです。
毎年1-2回は外科コースに参加するようにしていますが、今年はこれで3回目です。
1回目は2月のアイオワ州立大学での神経外科手術
2回目は9月の同じくアイオワ州立大学での骨折の整復手術(創外固定)
3回目は12月のラスベガスのWVCアカデミーの骨折整復、膝蓋骨脱臼整復、前十字靭帯損傷の外科手術と、AOVETの脊髄神経外科コース
僕は外科手術が得意ではありません。
得意ではないからこそ一番に力を入れないといけないと思っています。
整形外科、神経外科は対応が難しく、より専門的な動物病院を紹介することがあるものです。
以前に頸椎の手術が必要な子がいまして、他の動物病院を紹介をしようとお話をしていたところ、「先生のところではできないの?」
と言われ、大変に申し訳ないこともありました。
これまでずっとかかりつけで診察をしていながら、ここぞという大切な場面で対応ができないことはとても残念なことです。
アメリカでは整形外科疾患が増えていて、疾患別に見ると一番多いかもしれないようです。おそらく日本でもそのようなことになるかも知れません。
新しい十分な手技をもってお力になれますように日々是鍛錬ですね