日本橋動物病院だより

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とうとう -ネコちゃんの中足骨の骨折-

今日は夏らしいですね。
お盆の頃に購入したサングラスが役に立っていますよ。
「とうとうやってしまいました」とご連絡をいただいたのが、とても元気なネコちゃんのママ。
2階をうまく抜け出してしまって1階までジャンプと言いますか、落下といいますか、気がついた時には1階にいたのだそうです。
日頃からとてもこのことに注意されていらっしゃいましたから、とても残念そうでた。
実はネコちゃんが行かないはずの2階のおばあちゃんのお部屋。ちょっとのスキを見てそのからお出かけしようとしたようです。
診察室ではある程度普通に歩きますから、きっと大丈夫ですねって診察台にあげて。
足先を触ると違和感があり、ネコちゃんもニャーと一言。
X線検査をしますね、と検査を進めますと、骨折が見つかりました。
いわゆる足の甲の骨(中足骨)が1本。
いくつかの治療の選択肢をお話ししました。
最も確実で、短期間に治る方法。
手術をして固定する方法です。
ここの骨は放置していてもよく治りますが、治るまでの間は固定をしておかなければなりませんし、おおよそ2-3か月間はかかりそうです。
しかもとても活発なネコちゃん。
2-3か月間の安静は受け入れてもらえそうにありません。
当然、飼主さんはネコちゃんのことを熟知されていますから、手術以外の選択はなかったようです。
早速翌日に手術をすることにしました。
通常ここの手術は1本のキルシュナーワイヤーと呼ばれる細いピンを使います。
骨の中にこのキルシュナーワイヤーを入れて固定するのですが、ネコちゃんの動きから、もっと確実な骨プレートと呼ばれる比較的大きな骨を固定する器具を使う事にしました。
使うプレートは英国から輸入したもので、日本ではあまり使われてはいないと思います。
しかしながら、ネコちゃんの骨は結構欠けやすく、そしてこの中足骨はもともとキルシュナーワイヤーを用いる事がほとんど。つまりは、プレートを使うという事はとても慎重な操作が必要です。
プレートをスクリューと呼ばれるネジで足の甲の骨に固定します。
このスクリューもちょっと専門的な話ですが、セルフタッピングスクリューと呼ばれる物で、特にこのような手術の時は便利です。
慎重に慎重に、小さな骨に傷がつかないように、割れてしまわないように気をつけながら、力加減を調整しながら手術を進めました。
仕上がりを再度X線検査で確認しました。
これで不自由な時間は最小限で済むと思います。
ママにもおばあちゃんにも早く固定をはずして自由に走り回る姿を見て欲しい物です。
しかしながら、実はもっと完治を心待ちにしている方があります。
パパとお兄ちゃんです。
まだ足には固定器具が着いています。
早くに取れますように。
あと1週間ほどで取れますよ。