京都時代
6月もそろそろ終わりますが、朝夕は涼しい日もありますね。
京都。
僕が獣医師になってはじめて仕事をしたのが京都です。
その時のお話です。
大学を出たばかりで、実際の診療でもすぐに壁にぶつかり、いろいろと勉強をしながら、そして勉強をさせていただきながら、日々を過ごしていました。
それから2年ほど経った頃、いつも大きくそびえていた壁も少しだけ低くなり、どうぶつの飼い主さんからのお話をゆっくりと聞かせてもらうことができるようになりました。少しばかりではありますが、焦りが抑えられるようになった頃でした。
とにかくお話を聞く。
そしてどうぶつを診る。
30分以上かけて診察をすることも多かったと思います。
獣医師が多くいた動物病院ということもありますし、その診療スタイルを許していただいていたという恵まれた環境もありがたいことでした。
このときから、できるだけ時間をかけてお話を伺うことを大切にしてきました。
今は京都時代と比べまして1日に多くの方の診察をいたしますが、心がけとしては「できるだけしっかりとお話を伺う」です。
京都で過ごしたのはちょうど5年間、それからさらに9年ほどの時間が過ぎました。
5年毎に転機がありまして、京都で5年、分院長として5年、今の動物病院で4年ですので、来年あたりがまた転機かも知れません。(この動物病院を離れることはありませんが。)
少し前に1本のお電話を頂きました。
京都からでした。
京都で担当していたワンコの飼い主さんが、インターネットで僕の名前を探していただき、電話番号をお知りになったようです。
ワンコのケガのご相談でした。
とても驚きました。
京都を離れて9年以上が過ぎています。
覚えていただいていたことが光栄で、とても嬉しいことでした。
それからいろいろとお話をして、治療に対する考えなどをお伝えする機会がありました。
遠距離のために実際に診察をしてはおりませんが、手術の成績がよい動物病院をご紹介して、今は術後の経過をみられています。
懐かしいお電話から当時を振り返り、初心を忘れずに、大切にしようと思いました。
あまり意識してはいませんでしたが、あのころを思い出すよいきっかけになりました。