日本橋動物病院だより

日本橋動物病院だより

祈り

地震の影響はほとんどありませんでした。全くないと言ってよいほどでした。
大きめの揺れがありましたが、いつものようにすぐに治まるだろうと思っていました。
少し前にうちの動物病院が入っているビルのメンテナンスがあり、一部老朽化したところが見つかりました。ほとんど問題にならない程度でしたが、大きな揺れがあると何だか心配になってしまって、天井が抜けてしまわないか不安になりました。
そのときには入院用のケージはどうぶつ達で満室でしたが、しっかりとした造りですので、うちの動物病院ではそこが一番安全だったと思います。
外には隣のビルから出て来られた方々が大勢集まっていらして、女性の方々の中にはお互いに抱き合って揺れるビルを見ている方もありました。
テレビで見る被災地の被害状況がとても辛いです。
東京でもこの時期夜を外で過ごすことはできませんから、さらに寒いところで十分に暖房のない夜はどれだけ大変か。
まだ声の届かないところで救援を待つ方々はどうされているのか。
できるものなら行って何か力になれないだろうかと思います。
昨日テレビである避難所の様子を見ました。
被災後はじめての温かい食事があったのだそうです。
おむすびとお味噌汁。
筆舌に尽くしがたい恐怖と疲労と、そして寒さの中にもかかわらず、本当に素敵な笑顔で、ありがたい、安心する、温まる、と言いながら食事をとられる姿がとても印象的です。
僕の方が勇気をもらってしまいました。
首都圏では交通機関の本数制限で駅には長蛇の列があるようです。
インタビューを受けた男性が、「私達はただ並ぶだけですからいいですよ。被災地の方々を思えば。」とコメントされていました。
そして、今回の地震で海外の親戚からも心配のメールや電話をもらいました。
ヨーロッパの親戚も、アメリカの親戚も、テレビでは連日日本の地震の報道だということでした。
インターネットでも世界からの応援メッセージが日本に向けられてるのがありがたいです。
これまで僕がナショナリズムを感じるのは、サッカーの国際試合のときくらいでしたが、今回はまた違った意味で大切にしたい思いがあります。
そしてまた世界の人々の温かさがこんなにも嬉しいものだと実感しています。
減る人口、低迷する景気、そして大災害。
そこに集まる国内からの、そして世界からの応援メッセージ。
戦後の復興については歴史として知る程度ですが、今回もこの日本の底力に希望があります。
被災地の方々を思い祈ります。