トイブリードの骨折
若いトイブリード(小型犬)の骨折には非常に治りにくい、あるいは治らないものがあります。
いろいろな原因は言われていますが、すべてがわかっているわけではないために、海外では専門医も避けることがあるのだそうです。
先日、整形外科とは全く分野の異なるセミナーに参加したときのことです。
たまたま講師の方が、トイブリードの骨折には手を出したらいけないと公言されていました。
20人も入らないほどの小さな会場は、そうだそうだ大学の動物病院を紹介しよう!という雰囲気になりました。
これまでトイブリードの骨折を手術してきて、辛い思いをしてこなかったので、???という思いがありました。それからちょうど1週間ほどしたところで、まさに典型的なトイブリードの骨折の子が来院しました。
橈骨、尺骨とよばれるいわゆる肘から手首にかけての骨が折れています。それもかなり手首に近いので、手術が難しい場所です。
こういう骨折のことなのだろうな〜と思いながら、できるだけの手術をしました。
実は治りにくい、あるいは治らない場合でも、手術直後は大丈夫!と思うのだそうです。
しかしそれが治っていかない。
僕もいつもの手術ですので、しっかりと治ると考えていますが、前述のセミナー講師の話や、治りにくいという文献のことは全く気にしないわけにもいきません。
ここからしっかりと治るかどうか。
今回はTプレートと呼ばれる、特にこの部位に一般的に使われるプレートで固定しました。
そのワンちゃんが連れてこられたのは夜の遅く。
飼い主さんがいつもより遅くにご帰宅されたのだそうです。
するとベッドの上にいたワンちゃんが飛び降りてきて、その瞬間に「キャンキャン」と鳴き始めて。
深夜の時間外診療でしたがレントゲンで骨折が確認されましたので、手術の日を決めてそのまま入院でした。
飼い主さんが涙されていたのが僕まで苦しくなってしまいました。
よくワンコを連れてこられる方でしたから尚更です。
退院から数日後には、元気に走り回るから、こっちが心配で。と笑顔で心配されていました。
飼い主さんが笑顔のままでいらるように、しっかりと回復しなければなりません。