IR(インターベンショナル・ラジオロジー)
動物の医療はいろいろな分野で進んでいますが、この分野もまた然りです。
IRと言いますと、インベスター・リレーションズを思われるかもしれませんが、今回はインターベンショナル・ラジオロジーのことです。
よく、ヒトの医療で心臓の血管に異常が起こった場合、足などの血管から細いカテーテルと言われる管を通して心臓の異常な血管まで持って行き、血栓などの治療をする様子がテレビなどで紹介されることがあります。
まさにあのようなものです。
手術で胸を開いて心臓を直接触って手術をするのではなく、足に少しだけ切開をしてそこから細いカテーテルを挿入して治療しますので、回復が早いのです。
今回はどうぶつで行われていますIRについて勉強するためにセミナーに参加してきました。
なかなか当院の休診日(水曜日)にセミナーがないので、新しい情報を取り入れる機会が少なく、学会情報を少し時間差で受け取ることが多かったのですが、今回は直接話を聞くことができました。
お話を伺ったのはニューヨークの動物病院で活躍されているアメリカ人獣医師です。
(どうぶつでこの手技を行うには、様々な設備が必要ですので、残念ながら現在の当院ではできません。しかし、ニーズを把握して、将来的にはできるようにしたいものです。)
この手技をご提案して、ご希望の場合には、ご不便をおかけすることになりますが、大学病院をご紹介させていただくことになります。
さて、このIRですが、どのようなことに使われているのでしょうか。
どうぶつの医療分野でも、ヒトの医療と同じようにいろいろと応用されています。
1 血管に物を詰める
2 気管虚脱という病気の治療
3 手術ができない腫瘍の抗ガン療法
などなど。
血管に物を詰めるのは、例えば生まれながらに異常な血管があり、それがもとで健康に過ごせない場合、通常は手術でこの血管を糸やリングで閉じてしまうという方法がとられます。
そのような方法に代わり、足などの血管から細い器具を体に入れてその血管に栓をする方法があります。大動脈ステントと血栓形成コイルというものを使う方法です。
また、癌の治療の基本は手術で取り除くことですが、取り除けないものには抗ガン剤を用いることがあります。この中で、カテーテルをガンに栄養を運んでいる血管まで持って行き、そこから抗ガン剤を注射します。さらには、このガンに血液を運んでいる血管に栓をすることで、ガンを兵糧攻めにするという方法です。
困難な病気に対して、いろいろな選択肢を持つことで、より望みをもって治療ができます。
よいセミナーでした。