内視鏡大活躍
午前中の診療時間に異物を食べてしまったワンちゃんの飼主さんからお電話をいただきました。
小さなスポンジ状の異物です。
胃を痛めることはなさそうですが、大きさからは腸の方へも食道の方へも通過しそうにありません。
便に出ることもなく、吐き出すことも出来ない異物は胃の中に長く残ります。
早速来院され、小さく噛みちぎって食べてはいないかと期待しながら、まずは吐かせる処置からはじめました。
薬を使いますと、ゲエゲエと吐いてくれるのですが、全てドッグフードでした。
吐いて欲しい異物は出てきそうにありません。
やっぱり丸ごと食べてしまったようです。
飼主さんはがっかりとされていましたが、とにかく異物をださなければなりません。
全身麻酔をかけて内視鏡検査をすることにしました。
内視鏡を胃の中に入れると飲み込んだ異物が現れました。
鉗子でつまんで取り出すと、やっぱり丸ごと飲み込んでいたようです。
当然ながら手術をする必要もなく、痛い思いをすることもなく、日帰りすることができました。
動物病院では内視鏡はかなり普及していると思いますが、内視鏡のない動物病院の方が多いようです。
今回は吐かせる処置でたくさんのドッグフードを吐き出しながらも、異物を吐き出すことができませんでした。
通常、このような場合は内視鏡か手術かになるのですが、内視鏡があればまずは内視鏡を使い、それでも出せない異物は手術で取り出すという選択です。
しかし、内視鏡がなければ、吐き出せないとわかった段階ですぐに手術でしょう。
全ての異物を内視鏡で出せるわけではありませんが、今回も内視鏡は大活躍でした。
ちなみに、これまで内視鏡で取り出せずに手術をしたことが何回かあります。
磁石は内視鏡にもくっつきます。うまく鉗子ではさむことができずに何度も試みましたがだめでした。
大きなボールは内視鏡でつかめても、大きすぎて胃の入り口から取り出せませんでした。
やや小さめのボールもありましたが、鉗子でつかむとボロボロとちぎれてしまい、引っ張り出すことができませんでした。
太くて長いロープもありましたが、これも大きすぎてダメでした。
内視鏡で取り出せる大きさには限界があります。
しかしワンちゃんは自分の食道よりもはるかに大きな物を飲み込むことがあります。
そして、吐かせることができるのは、小さくて吐き出しても安全なものです。
大きな異物や針のように危険な物を飲み込んだ場合は、吐き出す処置がむしろ危険な行為になります。
それにしても、今回は内視鏡が活躍し、ワンちゃんも飼い主さんも安心して年末年始をご自宅で過ごすことができます。
本当によかったよかった