日本橋動物病院だより

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ハリネズミ-昔の話-

先日、天気予報で大陸にできた秋雨前線を見ました
夏らしい日が少ないのに、もう秋がそこまできているんですね。
僕が考える夏!は、青い空、大きな入道雲、そして照りつける強い日差しと、強烈な暑さです。
そんな日は実際は暑くて大変ですが、これこそ夏だと思っています。
昔のことですが、ロンドンに行ったことがあります。
1度目は完全に観光です。
2度目は少しだけですが、ロンドン王立の獣医大学で講義を受けることができました。
The Zooといわれる、ロンドン動物園。
その中の1室で講義は行われました。
ロンドンはきれいに晴れ渡ることが少ない都市で有名ですが、そのことを身を以て体験しました。
いつでも天気がよくない。
降らないが照らない。
今年の夏は、そんなロンドンを思わせるような日が続きました。
逆に、すっきりとした青空が貴重に感じますので、そのような空を見ると、本当に気持ちが晴れ晴れします。
ところで、今日、ハリネズミさんが来院しました。
まだ若い子です。
これもまた昔話になりますが、懐かしい思い出があります。
まだ京都で仕事をしていた時のことです。
ペットショップのハリネズミを育てさせてもらったことがあります。
まだ小さなハリネズミで、鶏の卵よりも小さい頃に、母親代わりを探しているところでした。
まだミルクで育てなければならないために、2-3時間毎にカテーテルという管を胃まで入れて飲ませていました。
当然夜中もミルクは必要です。
おしりを湿らせたティッシュでトントンと刺激して排泄を促すことも必要でした。
次第に僕に馴れてきて、手のひらで眠るようになりました。
なかなか馴れない動物ですので、貴重な体験をしました。
白いそのハリネズミは、だんだんと成長し、自分で食事を摂ることができるようになりました。
それまで、かなりの長い日数を一緒に過ごしました。
いずれはペットショップに戻り、どなたかに購入されます。
僕が名前を付けるわけにはいけませんでしたし、そうすることで、離れられなくなることも心配でした。
動物病院の獣医師をしていますと、飼い主さんがいらっしゃることを充分承知ではありますが、外来や入院で診察をするどうぶつをまるで自分の子のようにみていることがよくあります。
不思議に思うことは、年々そのような思いは強くなります。
年々慣れて、そのような感情が希薄になることはなさそうです。
今日は久しぶりのハリネズミさんを診察し、とても懐かしい気持ちになりました。
ちょうど10年ほど前のことです。