薬剤感受性-アトピー性皮膚炎-
雨が続きますね。
ジトジトして湿度が高いと、アトピー性皮膚炎の子達の中には、かゆみがつよくなることがあります。
皮膚炎が続くと来院されたゴールデン・レトリバーくん。
お近くの動物病院で処方されたお薬を飲んでいますが、なかなか改善されないとのことでした。
全体をよく診てみますと、アトピー性皮膚炎が出やすいところに特徴的な湿疹が結構ありました。
その湿疹の近くを指でかき分けて詳しくみますと、ゴールデンくんの足が動きます。
僕が触っているところがかゆいので、そこを触られて、ついつい足が動いて掻くような格好をします。
このような場合、薬が効いていない可能性があるために、変更や追加を検討しなければなりません。
適切な抗生剤を使い、消炎剤の追加が必要です。
適切な抗生剤を選択するために、耳慣れない言葉ですが、「薬剤感受性」検査というものをします。
皮膚についている細菌にどの薬が有効なのかを調べる検査です。
皮膚の湿疹が目立つ所など、細菌がいそうなところを綿棒で軽くこすって、付いてきた細菌を詳しく検査します。
院内でできる検査ですと、24時間ほどで結果がでます。
検査センターに出しますと、結果がでるまでに3日ほどかかります。
検査センターですと、院内の検査と比べまして日数はかかるのですが、細菌の名前までわかります。
しかしながら、急ぐ場合や、名前は重要ではなく、どの薬が役に立つのかを知るだけでしたら、院内の検査で十分です。
このゴールデンくんには、現在使っているお薬は効かないことがわかりました。
同時にちゃんと効く薬も見つかりましたよ。
皮膚病の場合、どのような薬を使うかは、統計的な判断がなされることが多いです。
ほとんどの場合これが効くとされるものをまずは使ってみるという方法です。
それが効かない子もいます。
どの薬が効くかを知るには、薬剤感受性検査が欠かせません。
薬を適切に使わないと、耐性菌という薬に打ち勝つ細菌が増えることになります。
細菌と抗生剤のイタチごっこは続くのでしょうが、今回はしっかりと治療できそうです。