日本橋動物病院だより

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ネズミかウサギか

ネコちゃんが、ある日体調を崩して来院しました。
いろいろとお話を聞く中で、ネズミのオモチャを食べたかも知れないとのことでした。
この仕事をして10年以上。
ネコちゃんの胃内異物はほとんどみません。
ワンちゃん、ウサギそしてフェレットは、ほぼ毎月必ずと言っていいほど見ます。
ネコちゃんの場合は、食道よりも大きな物を食べないとされていますので、異物を飲み込むことは少ないことです。
しかし、ワンちゃんは、食道よりもかなり大きな物を食べます。
以前、体重10kgほどのフレンチブルちゃんがテニスボールくらいのゴムボールを2個飲み込んでいたことがあります。
そのネコちゃんに麻酔をかけて内視鏡で調べました。
お腹の中には7匹のネズミの形のオモチャ。
内視鏡で結構取ったのですが、残り数個はどうしてもノドのところで引っかかって出てきません。
残念ながら、胃まで戻して、手術で取りました。
ところが、ネズミは腸にも残っていました。
腸を切って、ネズミを取り出し、傷んでいた腸は切り取りましたので、その後腸と腸とをつなぐ手術になりました。端々吻合(たんたんふんごう)と言われる手術です。
09051201
切り取った腸は病理検査をしました。
もう少し手術が遅かったら、腸に穴があいていたかも知れないという検査所見でした。
それにしても、手術前に吐きだした物を含めると、結局は10個のネズミのオモチャを食べていたことになります。
このネズミのオモチャには、ウサギの毛皮が巻かれており、おそらくはこのウサギの毛皮に非常に興味を持ってしまって、飲み込んだのかもしれません。
このネコちゃんが興味を持ったのは、ネズミかウサギか。
きっとウサギの毛皮かもしれませんね。
手術まではあまり食欲もなかったのですが、術後はだんだんと食欲も戻りました。
手術までに痩せてしまっていましたので、また丸々と太って欲しいものです