去勢手術
今日から3月。
曇り空ですが、天気予報は雨。
お花見まではまだまだ寒いものですよね。
去勢手術に関係して。
去勢手術にはその是非をめぐっていろいろな意見があるようです。
今回はその是非をめぐる内容ではありません。
最近診察をした中に、肛門周囲腺腫と会陰ヘルニアがあります。
それぞれ別の子が発症したのですが、これらは去勢手術をしていると極端に発生率が下がります。
また、これらの病気の手術を行うときには、基本的に去勢手術を同時に行うことが推奨されます。
男の子のホルモンによるものであるとされています。
これらの病気は基本的にすぐ生命に危険をもたらすような怖い病気ではありませんが、どちらも肛門周囲に手術以外では解決できない問題が生じます。
発生頻度はそれほど高い訳ではありませんが、滅多に見ない珍しい病気でもありません。
きっと獣医師であれば誰でも見たことがあるはずです。
そのような中で、飼い主様からお問い合わせがあった場合に、去勢手術のメリットとして、このような病気の予防になることを紹介すべきか否か。
当然に紹介すべきだと考えますが、発生頻度も同時にご紹介しなければ、必要以上のご心配をおかけすることになりかねません。
アメリカの女性で、乳がん遺伝子が見つかったということで、ご自身のまだ健康な乳腺を全部摘出した方がいるという話がありました。
病気であっても勇気がいることですが、健康体で摘出するものすごいことです。
その話には続きがありまして、その方のお母様も、おばあさまも、乳がんで大変な苦労をされたようです。
その病気のことを近くで見てきたので、決断ができたのだろうと思います。
これまで何かの病気で動物と辛いお別れをされた方が、次に動物を飼われるときには、同じ病気にはなって欲しくないと健康診断や日々の健康管理はその病気の予防にまず向かう傾向があります。
その病気のことを近くで見てきたので、当然の思いだと考えます。
獣医師も多くの病気を日々診察する中で、一つの情報として去勢手術のメリットをお話したい場面もあります。
その病気のことを近くで診てきたから話せることがあります。
女の子の不妊手術にはもっと大きなメリットがあると考えますが、やはりこれらの手術の是非にはいろいろなご意見があり、結論は平行線の彼方かも知れません。
実は予防できた病気が発見され、心を痛めていらっしゃる飼い主様をみると、もっと強くに推奨すべきであったのか自問するところです。
しかしながら、その去勢手術をしないことを選択された飼い主も尊重すべきだと考えます。
一つのお話として参考になればと願います。
自身の辛い経験よりも、できるだけ歴史や統計、そして根拠のある中立的な情報に学びたいと考えております。