全身麻酔の年齢制限
どうぶつの場合には、何かと全身麻酔をして処置や手術をすることが多いのですが、全身麻酔が必要ですとお伝えしますと、多くの方は心配されます。当然ですよね。
それは、生命に関わる処置であり、しかも100%大丈夫ですと言えるものではないからでもあります。
当院では、必ず麻酔前に血液検査を行い、詳細な身体検査を行います。
その中には聴診、視診、触診などが含まれます。
その後、必要に応じてレントゲンの検査をしますが、これは必須ではありません。
次には注射で短めの麻酔をかけて、その後酸素と混合したいわゆるガス麻酔で麻酔状態を維持します。
その間に処置や手術を行います。
確かに100%安全ですとは言えませんが、実績では今日まで100%大丈夫でした。
その全身麻酔を必要とする処置の前には、当然ながらかなり緊張するものです。
絶対に「もしものこと」があってはいけませんので、ありそうであれば麻酔処置そのものをすべきかどうか再度検討が必要になります。
全身麻酔の安全率100%の実績の記録は継続させたいものです。
今日は、その全身麻酔をかける手術や処置が5件ありました。
不妊手術、開腹手術、内視鏡検査、眼科手術、腫瘍の摘出です。
その中には18歳のワンちゃんがいました。
腫瘍摘出のワンちゃんです。
もしかすると18歳だし、腫瘍をそのまま放置していいのではないかという考えもあるかもしれません。
しかしながら、その子の腫瘍は簡単に取れそうなものであり、さらにその腫瘍からは出血が続いており、手術以外では解決できないと考えたために、手術することを勧めました。
もし手術をしないと飼い主さんは、腫瘍からの出血しながら家の中を歩き回るワンちゃんを追いかけて掃除をしたり腫瘍に包帯をしたりといったケアが毎日必要になります。
これまで長い間のお付き合いがあるワンちゃんです。
たくさんの思いでもあります。
決して今日を最後の日にしたくはありませんので、簡単に手術の話をすることはできませんでしたが、それ以外に解決策がないので、大きな決断でした。
麻酔薬を注射すると普段の半分ほどで効いてしまいました。
これは、体が弱っていることを意味します。
すぐにガス麻酔に切り替えて、迅速に手術を進めました。
手術も早めに終わり、ちゃんと覚めるかどうか気になるところですが、手術中の状態もずっと安定していましたので、全く問題がなく覚めてくれると思いました。
意外とすぐに覚めてくれて大きな声でワンワンが始まりました。
逆に、このワンワン吠えることで体力を消耗するのではないかと、そちらの方が心配になるほどでした。
今のところ、僕の中での最高齢ですね、きっと。
全身麻酔を18歳のワンちゃんにかけたのは。
ネコちゃんには以前18歳の子にかけたことがあります。
とにかく心配されていた飼い主さんと笑顔でお話できることが、何より嬉しいものです。
それにしても、今日はいろいろとありました。
懸命についてきてくれた看護士達に感謝です。明日も頑張ろう!