食物アレルギー
今日はちょっと趣を変えまして、最近よく遭遇することを書いてみることにしましたよ。
「血液を検査したら牛肉にアレルギーがあるから、牛肉は与えていないの」
このような言葉はいろいろな機会に聞くことがあります。
私も食物アレルギーについて診療中に充分にお話しできるとよいのですが、毎回できるとは限りませんので、今回はブログでお伝えできればと考えました。
食物アレルギー(食べたら痒くなるかどうかの判断)は血液検査だけでは判断できないのです。
ワンちゃんの血液検査とは、多くの場合、抗原特異的IgE抗体検査と呼ばれるものです。よくアレルギー検査と言われます。聞き慣れない言葉ですが、これは上の例で言いますと、牛肉にアレルギーがある場合に血液中に現れる物質のことです。
この検査したときに、牛肉にアレルギーがあると判断されたのだと予想されます。
しかし、ここからが大切なところですが、いくら血液検査で牛肉にアレルギーがあるという結果が出ても、実際に食べさせて、それまでよりも痒みが増すとか、体の赤みが増すとか、あきらかに牛肉を食べてからおかしいという症状がない限りは、食べない方がよいという根拠はありません。
これはヒトの食物アレルギーでも同様のことです。
一部抜粋しますね。
「通常、食物アレルギーと確実に断定するためには、実際にその食物を負荷する試験、しかも試験医師や患者の思い込みを排除するためのブラインド試験1)が必要になります。 中略 いずれにしても、アレルギーをおこす食物の制限は、ブラインド試験で陽性であることが判明しない限りは行う必要はありません。」
-アレルギーはなぜ起こるのか ヒトを傷つける過剰な免疫反応のしくみ 斎藤博久 著より-
1)ブラインド試験とは、食物を与える人も食べる人も、それが何かを知らされずに食べてみるという試験です。すなわち、与える人も食べる人も先入観をなくして検査するということです。これには、もう一人与える人でも食べる人でもない人の協力が必要になります。
では、検査結果は何なのか?無意味なのか?ということになります。
参考にはなる程度です。それと、食べてではなくて、直接または唾液などど混ざって口の周りなどに付着して、その部分が痒くなるかもしれないことは予想されます。つまりは、検査で陽性がでた食べ物が、食べてではなく、直接皮膚について、そこが痒くなることは考えられることです。
もしかしたら、食べても全く痒みを起こさない食物を制限してしまっている方は大勢いらっしゃるかもしれません。
紛らわしいですよね。普通は陽性が出たら、与えない方がいいって思いますし、食べさせなければ痒みが減るとも期待してしますから。
もっと詳しくは個々にお話する必要がありますので、診療の中でご説明いたしますね。
またブログに書く機会もあると思います。