【犬のレプトスピラ症】ワクチンで予防する病気を獣医師が解説します。

概要

犬のレプトスピラ症という病気があります。ヒトにも感染する細菌の感染症です。そして、この病気には、複数の血清型があります。血清型とは、インフルエンザにいくつかの型があるように、このレプトスピラにもいくつかの型があります。予防にはワクチン接種が重要になります。そして、この病気を診察した獣医師は、保健所に届ける義務があります。しかし、血清型まで確定診断を行なってから届ける必要があり、そこまで確定していないと、届出ができません。届けられた数が毎年報告されていますが、血清型が確定できなかった犬も多いので、報告数を超えた犬がこの病気にかかっていることが予想されます。

2006年から、犬のレプトスピラ症を診察し、診断した獣医師は、保健所に届ける義務があります。

届ける義務のある血清型は、7血清型です。

しかし、犬はこの病気になると、急性腎不全で死亡することがあり、レプトスピラ症ということは確定しても、血清型までは確定できないことがあります。そうすると、届けることができませんので、届けられている数よりも、犬のレプトスピラ症は多いと予想されます。

予防にはワクチン接種が重要です。ワクチンを接種していない犬が、レプトスピラという細菌に感染しているかどうかを調べた研究では、40から70%の犬が陽性だったという結果が報告されています。

犬のレプトスピラ症の多くは不顕性感染といい、感染はしているが、無症状で過ごしていることが多いと考えられ、この無症状の犬は、尿中に細菌を排菌し、他の犬への感染源になったり、ヒトへの感染源にもなるために、注意が必要です。

犬のレプトスピラ症で見られる症状

発熱、食欲不振、嘔吐、下痢、脱水、口粘膜の出血性黄疸、腎機能障害、肝機能障害

診断

尿中に菌が出ていることがあるので、これを調べるための尿検査を行います。また、血液検査で診断します。いずれにしても、検体サンプルを検査機関に送り、そこで検査を行うことで確定診断を行います。

予防

ワクチン接種が推奨されます。毎年接種か、どうするかが議論される犬のワクチン接種ですが、犬のレプトスピラ症に対するワクチンは1年も効果を持続できないとされています。

もし、あなたの犬が、3年に1度しかワクチン接種を受けていないとすれば、少なくともレプトスピラ症に対しては無防備だと考えてください。

感染経路は、野ネズミからの感染が多いので、アウトドアでキャンプに行く場合、あるいは、都市部でも野ネズミが保菌していることがわかっているので、ドッグランなど不特定多数の犬が集まる場所へ行き場合には、ワクチン接種が推奨されます。

予後

不顕性感染といい、菌が体内にあるにも関わらず、病気にならない犬がいることも報告されますが、症状がみられると、重篤化することがあり、死に至ることは決して珍しくはありません。ワクチン接種で予防できるならば、検討してみても良いのではないでしょうか。