内科疾患は、普段の生活の中で気付き
やすい、
見てわかる症状が特徴的です。
くしゃみや咳などの呼吸器疾患、
吐いたり、下痢をしたりする消化器疾患、
頻尿や血尿が見られる泌尿器疾患、
息切れ、咳、運動不耐性が見られる
循環器疾患
などがあります。
また、高齢になり
次第に食欲が低下したり、
痩せてくるときには
泌尿器疾患の可能性もあります。
くしゃみや咳や鼻水が出る イヌ・ネコ
上気道感染症、犬伝染性気管気管支炎
くしゃみや咳や鼻水が出るなどヒトでいう風邪のような症状が見られたら、
ネコの場合は上気道感染症、イヌであれば犬伝染性気管気管支炎を疑いましょう。
一年を通していつでも見られる病気ですが、気温が下がる時期であれば、部屋を温かくして、
できれば加湿も合わせることで快適な環境を作ることができます。
ネコの上気道感染症であれば、
常に寝ている・よだれが出る・結膜炎・角膜炎・口腔内潰瘍
というような症状が出ることもあります。
この病気はウイルス、細菌そしてクラミジアの感染症で、
治療は全身的な抗ウイルス薬の投与、支持療法※1、そして局所療法を行います。
犬伝染性気管気管支炎であれば、発熱・食欲不振・元気がないなどの症状も出ることがあります。
ウイルス、細菌そしてマイコプラズマの感染症で、
抗生物質・気管支拡張薬・咳止め・去痰薬・吸入薬などで治療をします。
食べ物や胆汁を吐く イヌ・ネコ
胃炎
食べ物や胆汁※1、胃液を継続的に嘔吐するのであれば、胃炎のおそれがあります。
食べ物以外の嘔吐のほとんどは胃が空っぽの状態で起こりますので、
食事の前や夜中に見られることが多いものです。
誤飲や誤食によるものであれば嘔吐を誘発させる催吐、その他の原因であれば制吐薬、
消化管運動機能改善薬、胃粘膜保護薬、胃酸分泌抑制薬、抗生物質などで治療します。
下痢をする、粘液や血を含む
少量のウンチをする
イヌ・ネコ
大腸炎
頻繁に排便したり、粘液や鮮血を含む少量の便を排泄する場合、大腸炎を疑いましょう。
ときには嘔吐をすることもあります。
環境の変化で見られることが多い症状です。
例えば、長い留守番、ペットホテル、トリミング、
慣れないところへの外出などが原因になることもあります。
食事療法、抗生物質、診断的治療薬や対症療法薬を用います。
食欲がない、嘔吐する、
高齢で痩せ始めた
イヌ・ネコ
慢性腎不全
初期には症状があまり見られない慢性腎不全。
進行すると、食欲不振や、嘔吐などの症状が出てきます。
食欲不振や嘔吐はさまざまな病気に見られる症状です。
慢性腎不全は多くの場合は高齢のイヌやネコに発症することが多く、
食欲不振が現れる頃には、痩せ始めていることが多いものです。
薬を飲ませたり、点滴をしたりして治療します。
定期的な健康診断を行うなど、早期に発見すると
進行を遅らせるために食事療法や投薬をはじめることができます。
血尿、頻尿、排尿困難、
食欲不振、ときに嘔吐
ネコ
猫下部尿路疾患、急性膀胱炎
血尿・頻尿・排尿困難・嘔吐、ときに食欲不振などの症状が見られたら、
ネコであれば猫下部尿路疾患を疑いましょう。
頻尿の場合、量が少ないと排尿を確認できないことがあります。
この病気は、少しは排尿が見られているのか、全く見られないのかの見極めが大切です。
判断がつかない場合には、来院をお勧めします。
薬の飲ませたり、排尿を促す治療をします。
もし閉塞性であれば、閉塞の解除と全身状態の安定化を行います。
ストレスが原因で起こることの多い特発性膀胱炎の場合には、
ご自宅の環境や飼われている状態を問診して改善のためのご相談をさせていただいております。
もし排尿のときに痛がるような仕草も見せたら、急性膀胱炎の可能性もあります。
その場合、適切な抗生物質や鎮痛薬を飲ませることを基本として治療を行います。
左右対称に毛が抜ける、
しっぽの
毛が抜ける、
皮膚の色素沈着
イヌ
甲状腺機能低下症
左右対称性の脱毛やしっぽの脱毛、皮膚の色素沈着や再発性の膿皮症※1 、
外耳炎※1などが起こる場合には、甲状腺機能が低下している可能性があります。
欠乏している甲状腺ホルモンを薬で補う必要があります。
ゆっくりとした変化ですので、はじめのうちはご家族の方が気付かれないことも多い病気です。
健康診断や定期検診をおすすめしています。
たくさん水を飲む、たくさん
食べる、たくさん排尿する、
体重が減る
イヌ・ネコ
糖尿病
多飲多尿・多食・体重減少などが見られる場合、糖尿病のおそれがあります。
治療の際に、血液検査と尿検査で糖を調べます。
検査には20分ほどかかります。
多飲多尿を示す病気は糖尿病以外にもありますので、まずは鑑別を行います。
インスリン療法、食事療法、定期的な血糖値測定とインスリン量の調節をして治療します。
当院では、外科手術を一般外科と
整形・神経外科に分けています。
薬を使った内科的な治療では解決できない
病気の
治療や不妊手術などを行なっており、
ときに、
2次診療で行われることの多い手術
にも
対応しています。
飼っている動物、
または他の動物の妊娠を防ぐ
イヌ・ネコ
不妊手術
不妊手術(去勢手術・避妊手術)を、行うことで望まない妊娠を防ぐことができます。
また、交尾・妊娠・出産といった自然な活動ができない動物のストレスを
軽減、解消するものでもあります。
その他、さまざまな病気の治療や予防として行われる場合もあります。
手術や麻酔を安全に行うために、手術当日の食事を抜くなどのお願いを事前にさせていただきます。
健康に特別な問題がない場合は、手術当日の午前9時から11時までに来院し、手術前には検査を行います。
検査項目は年齢や、一般検査の結果によって異なります。
イヌ、ネコでの手術の進め方には大きな違いはありませんが、
メスの手術の場合は、体格や年齢によって難易度が異なります。
大きかったり、太っていたり、年齢が高かったりすることで、手術の難易度が高くなり、
麻酔管理もさらに慎重さが求められます。
当院では、麻酔を手術の進行に合わせて調節することで、術後の覚醒が早くに見られます。
手術が終わってから麻酔から覚めるまでは、おおよそ5分以内。
その後入院管理で一晩観察をして、翌日には退院です。
手術後、おおよそ2週間で抜糸を行います。
抜糸にかかる時間はおおよそ5分ほどです。
食欲不振、下痢、
頻繁な嘔吐、
ふさぎこむ、
白目が黄色っぽい
イヌ
胆嚢粘液嚢腫
イヌの場合、食欲不振、下痢、嘔吐、沈うつ、黄疸(おうだん)などの症状が見られたら、
胆嚢粘液嚢腫のおそれがあります。
診断のために血液検査と腹部超音波検査を行い、
基本的には胆嚢を摘出する手術を必要とします。
2次診療施設で行われることが多い手術ですが、当院で手術可能です。
内科療法※1の有効性については現状確認できていません。
元気がない、発熱、嘔吐、
たくさん飲む、たくさん排尿する
イヌ・ネコ
子宮蓄膿症
不妊手術を行っていないメスの場合、
元気がない、発熱、多飲多尿、嘔吐などの症状がある場合は子宮蓄膿症を疑いましょう。
はじめは食欲があることも多いです。
発情出血※1開始後から1、2か月のあいだに発症するケースが多いです。
救急管理が必要な疾患で、救命のためには、手術で卵巣・子宮全摘出を行うことが一般的です。
適切な治療を行い、それに反応が見られたら完治する病気です。
お腹にしこりがある イヌ・ネコ
乳腺腫瘍
乳腺腫瘍になると皮膚のお腹側にしこりとして現れることが多く、
はじめは小さいしこりも、次第に大きくなっていきます。
乳腺に起こるできもので、良性と悪性があります。
高齢になればなるほど、または、腫瘍が大きくなればなるほど、悪性の可能性が高くなります。
外科手術での切除をまず第一に行います。
ただし、悪性度が高い場合の炎症性乳がんは手術ができないため、抗がん剤を使った治療を行います。
落ち着きがない、トイレに
長くいる、鳴きながら
排尿する
ネコ
閉塞性猫下部尿路疾患
落ち着きがない、鳴きながら排尿する、頻繁に排尿動作をする、
その他にも、血尿、頻尿、排尿時に痛がるなど排尿に関して異常がある場合は、
閉塞性猫下部尿路疾患の可能性があります。
特にオスの場合には、緊急性がある病気で、早めの受診をお勧めします。
症状が見られてから治療までの時間は短いほど治療後の見通しが良好です。
繰り返しやすい病気のため、定期的な尿検査や食事療法を用いた予防をお勧めしております。
整形外科では骨、関節に起こる症状を
改善するための手術を行います。
骨折、脱臼そして靭帯損傷が一般的です。
この領域の外科は、2次診療施設で
行われることも
多いものです。
当院では、ご希望があれば
2次診療施設を
ご紹介することもありますが、
多くは院内で行なっています。
後ろ足を上げたり
引きずりながら歩く
主にイヌ
前十字靭帯の損傷、股関節形成不全
前十字靭帯の損傷または断裂の場合、後ろ足を長時間上げっぱなしにしている、
しっかり地面についていない、元気はあるのに後ろ足の歩き方がおかしいなどの症状が見られます。
治療にはどの大きさのイヌに対しても手術を勧めています。
手術を行わない保存療法(内科治療)もありますが、
体重の軽い小型犬に限られ、しかも治癒しない場合もあります。
手術では関節外法※1、TTA※2、TPLO※3といった専門的なものを推奨しています。
当院では、関節外法とTTAを行なっており、現在TPLOを行うための準備をしています。
股関節形成不全の場合、歩くことを嫌がる、お尻を振って歩く、
後ろ足の筋肉が少し細い、などの症状が見られます。
治療には手術を行わない内科的治療と
手術による骨頭切除※4、股関節全置換術※5、骨盤三点骨切り術※6があります。
当院では骨頭切除を行なっています。
1歳未満の小型犬が片足を
上げたり
ひきずったりする
イヌ
レッグ・カルベ・ぺルテス
片足を上げたりひきずったりする、足をうしろにピンとひっぱると痛がる、
歩き方がおかしいなどの症状が小型の若いイヌに見られる場合は
レッグ・カルベ・ぺルテスという病気の可能性があります。
手術としては大腿骨頭と骨頚(こつけい)切除術を行います。
手術を行うと、痛みが取れて歩きやすくなります。
手足を痛がって上げている、
特に前足の様子がおかしい
イヌ・ネコ
骨折
手や足を痛がって上げていたり、その手足を使って歩くことができない、
特に前足の様子がおかしいようであれば骨折を疑いましょう。
もし、高いところから飛び降りたり、落下させてしまったなど思い当たる出来事があればなおさらです。
小型犬の場合、気付かないうちに骨折して手足を上げていることも多いため、注意しましょう。
多くの場合、外科手術が必要です。
ときにギブス固定で治ることもありますが、元どおりに戻すためには、手術をおすすめします。
プレートによる固定が一般的ですが、ピンやワイヤーを用いたものや創外固定と呼ばれる方法もあります。
当院で最も多く行っているのはロッキングプレートを用いた手術です。
歩くときに片足をケンケンを
する、
片足を上げたまま歩く
イヌ・ネコ
膝蓋骨脱臼
家の中や散歩中に歩く際、片足をケンケンしたり、
上げたまま3本の足で歩いているようであれば膝蓋骨脱臼の可能性があります。
初めのうちは片足を上げたり下ろしたりしています。
あまり痛そうに見えないことが多く、自然に普通の歩き方に戻ることもあります。
膝蓋骨脱臼とは、いわゆる膝のお皿の脱臼です。
はじめは脱臼をしたり、元に戻ったりを繰り返し、次第に脱臼したままになってしまいます。
このときの歩き方は普段と変わらなく見えるためにも見過ごされることもあります。
診断のためには触診やX線検査を行います。
手術をする前にリハビリを試みることがありますが、治癒に至らなかったり、
悪化が見られる場合には手術が必要です。
様々な手技をそれぞれの動物の状態に合わせて組み合わせる手術を行います。
整形外科では骨、関節に起こる症状を改善するための手術を行います。
椎間板ヘルニアの治療をはじめとして、
背骨の骨折や腫瘍、
脊髄の炎症、腫瘍の
治療を
行なっています。
この領域の手術は
多くの場合、
2次診療施設で行われます。
当院の場合、手術前のCTやMRIなどの
画像検査は
外の検査センターでお願いし、
その後の手術は
院内で行ないます。
また、ご希望によっては
2次診療施設をご紹介しています。
抱き上げる瞬間に痛がる、
震える、
散歩を嫌がる
イヌ・ネコ
椎間板ヘルニア、馬尾症候群
椎間板ヘルニアはその症状の程度で重症度を分類します。
最もケースの多い胸腰部の椎間板ヘルニアの場合、以下のようなグループ分けをしています。
グループ | 症状 |
---|---|
グループI | 抱き上げる瞬間にキャンと痛がる、元気がなくなる、動かなくなる、下半身が震える |
グループII | 麻痺があってフラフラ歩く |
グループIII | 麻痺があって歩けなくなる |
グループIV | 足の感覚がほぼなくなる |
はじめのうちは本人にも痛みの自覚がありますが、
そのままにしておくと患部が麻痺して感覚もなくなります。
確定診断のために、MRIやCT検査※1を行います。
さまざまな病態があり、それぞれの状況で治療方法が異なります。
多くの場合には内科療法で効果が見られますが、
内科療法に反応がない場合や、悪化がある場合には外科手術が必要になります。
片側椎弓切除術や背側椎弓切除術※2、
そして腹側スロット法※3などで病的な脊髄にアプローチします。
手術後のリハビリも大切です。
症状が椎間板ヘルニアと非常によく似ていますが、
馬尾症候群の場合は腰を反るように力をかけるとズキズキとうずくような痛みがあります。
馬尾症候群とは犬の腰の骨の最後(7番目)とその後ろの骨の間に生じる様々な変化で、
主な症状は神経症状です。
診断のための触診、X線検査を行ったり、内科療法か手術かを選択します。
はじめは内科療法に反応が見られるかを数日間行うことが多いです。
反応が弱ければCTとMRIの検査を行い、手術を行います。
3歳以上のイヌの80%以上が
歯周病だと言われています。
歯科処置は、予防、治療がありますが、
基本的には麻酔を使った処置になります。
当院では年間300件近い麻酔実績があり、
そのすべてで高い安全性を
ご提供しています。
歯石がついている、
歯茎が赤くなる、口臭がする
イヌ・ネコ
歯周病
歯に歯石(黄色や茶色の石のようなもの)がついている、
歯茎が赤い、口臭がするなどの症状がある場合は歯周病を疑いましょう。
口の中をなかなか見せてくれない動物が多いので、診察をおすすめします。
歯周病とは、歯垢の中の細菌に対して起こる歯肉炎と歯周炎を合わせた総称です。
基本的な治療は歯垢と歯石の除去。
ただし、それだけでは十分ではない場合も多く、歯周外科治療や抜歯が必要なこともあります。
当院では、歯磨きトレーニングをしています。お気軽にお問い合わせください。
口臭がする、くしゃみを
する、
鼻水が臭う
イヌ
口腔鼻腔瘻
くしゃみをする、またくしゃみをするときに鼻水が飛び散る、
鼻水が臭うなどの症状があれば口腔鼻腔瘻の可能性があります。
口腔鼻腔瘻は歯周病から起こるため、歯石がなくても匂いのある鼻水が続く場合には注意が必要です。
上顎の歯に歯周病が起こり、上顎と鼻腔との間ある骨が歯周病の進行によって破壊されて起こります。
多くの場合に、原因となる歯を抜歯する必要があります。
よだれが増えた、
顔を不自然に
傾けて食べる、
口の中を
痛そうにする
ネコ
歯肉口内炎
ネコの場合、よだれの量が増えたり、
痛い部分を避けるように顔を不自然に傾けながら食べる様子が見られたら、
歯肉口内炎の可能性があります。
よだれが増えることで、前足の内側がよだれで汚れていることもあります。
歯肉と口腔粘膜の慢性炎症性疾患で口腔後部口内炎とも言われています。
内科治療と外科治療があり、内科治療は多くの場合で生涯にわたるケアが必要です。
より有効なのは外科治療の後に内科治療を行うこと。外科治療の内容は、口腔内清掃と抜歯です。
抜歯をした場合でもしっかりとそれまでどおり食べることができます。
抜歯の後に、食事を制限したり、変える必要はありません。
目の下や頬が腫れる、
出血することがある
イヌ・ネコ
根尖周囲病巣
目の下や頬が腫れていたら、根尖周囲病巣を疑いましょう。
はじめはケガやできものと思われることが多く、
ときに小さな穴が開いて出血することがあります。
歯髄に生じた炎症が歯髄全体に広がり、
さまざまな刺激物が原因となって歯根の先端の歯周組織影響を及ぼして起こります。
治療としては、感染した歯髄と根尖周囲組織の除去、歯内治療や抜歯を行います。
舌が不自然、物を飲み込めな
い、
喉まわりが腫れている、
唾液が多い
イヌ
唾液腺嚢胞
下顎の下や舌の根元が腫れる、異常な舌の動きや口からの出血、
食欲不振、食べ物を飲み込むことが困難、喉のまわりの腫れ、呼吸困難、
ときに眼球突出、外斜視※1が見られる場合は唾液腺嚢胞の可能性があります。
唾液腺嚢胞は唾液腺やその導管が障害を受けて、唾液が漏れだして周囲組織にたまったものです。
治療は病気にかかった唾液腺を除去する必要があります。
眼科疾患は見つけやすいものと、
大変見つけにくいものがあります。
問題がなさそうだと見過ごされることも多い
ため、
健康診断や予防で来院された際に、
お気軽にご相談ください。
目が充血している イヌ・ネコ
結膜炎
白目の左右どちらか、または両目ともに充血が見られるようであれば、結膜炎を疑いましょう。
細菌、クラミジア、ウイルス、真菌などにより結膜※1に炎症が起こる病気です。
治療はそれぞれの原因に応じて、内服薬、点眼薬により行います。
目が白っぽくなる イヌ・ネコ
白内障、緑内障
目が白っぽくなっているように見えたら、白内障か緑内障を疑いましょう。
もし黒目の中央が白っぽくなっていたらイヌの場合は白内障の可能性もあります。
白内障には、先天性、遺伝性、代謝性、外傷性、続発性、加齢性などがあり、
初発、未熟、成熟、過熟と分けることができます。
内科治療で治すことはできませんが、
白内障の合併症であるぶどう膜炎の対策として点眼薬を用いた治療が必要になります。
白内障に対する有効な治療は外科的治療です。
超音波乳化吸引術で白く濁った水晶体を取り除き、人工眼内レンズを入れるという治療を行います。
目の表に見えてる部分が全体的に白っぽく見えたり、
目がやや飛び出してきているように見えるようでしたら緑内障を疑いましょう。
緑内障の治療の目的は、視覚の維持です。
内科的治療では主に目薬を使いますが、他には内服薬も用いることもあります。
手術を行う場合もありますが、
当院では緑内障の手術は行っていないため、専門の病院を紹介しています。
目をショボショボさせる、
涙が増える
イヌ・ネコ
角膜潰瘍、ぶどう膜炎
目をショボショボさせていたり、涙の量が増えるなどの症状が見られたら、
角膜潰瘍やぶどう膜炎の可能性があります。
角膜潰瘍角膜上皮(眼の表面)が欠損した状態のことです。
深さによって様々な程度があり、
単純なものであれば点眼薬で治療できますが、外科処置が必要になる場合もあります。
まぶたの痙攣や充血などの症状も加わったら、イヌの場合はぶどう膜炎の可能性もあります。
ぶどう膜炎は充血が見られる目の病気の一つです。
結膜充血、まぶたの痙攣、目をショボショボさせる、涙が増える、
瞬膜※1が出る、瞳孔が小さくなる、痛みが出るなどの症状が現れます。
さまざまな原因で起こるため、原因を特定し、その原因を治療することを優先します。
それに加え、炎症や痛みを治療しながら、ぶどう膜炎に引き続き起こる病気を予防します。
治療には目薬や内服薬を用います。
薄明りの中で
目が見えていない
イヌ
進行性網膜萎縮
進行性網膜萎縮になると、初期段階では夜盲の症状が見られ、
次第に視力が低下して最終的には失明してしまいます。
現在のところ進行性網膜萎縮に対する有効な治療法はありません。
進行性網萎縮が見られる、次には白内障が続発します。
さらには、白内障が進行すると水晶体起因性ぶどう膜炎を併発し、
その慢性ぶどう膜炎から緑内障を続発することがあるため、
定期的に水晶体の状況を観察する必要があります。
眼球が飛び出ている イヌ
眼球突出
眼球が以前よりもぎょろっと飛び出しているように見えたら、
眼球突出の可能性があります。
腫瘍が大きくなると突出することがあり、
その場合、腫瘍が悪性だと病気の経過が悪くなってしまいます。
その他の場合であれば、治療可能な確率が高くなります。
眼球突出ではなく、緑内障の可能性もありますので、
気になることがあれば来院をおすすめします。
目ヤニが目に残りやすい イヌ
乾性結膜炎
目が乾く、目ヤニが目に残りやすくなる、
ときには目ヤニが出にくくなるようなことがあれば、
イヌの場合は乾性結膜炎を疑いましょう。
涙の欠乏によって起こる、角膜および結膜の炎症性疾患です。
さまざまな原因で起こるため、それぞれに対する治療を行いますが、
目の表面の水層欠乏の改善のためには主に点眼薬を用いて治療を行います。
皮膚科疾患の場合、主な症状は
かゆみと脱毛で、
他の病気に比べて
見てわかりやすいことが多いのが
特徴です。
イヌ、ネコの皮膚科疾患は、
単純なものもありますが、
多くは
色々な原因からなる
複雑なものも多く、
はじめはしっかりと
時間をかけて
慎重に診断するようにしています。
湿疹、脱毛、黒い斑点が
できる、
掻きむしる
イヌ
膿皮症
薄皮がはがれたような脱毛、湿疹、
ときに黒い斑点のようなものやかゆみが見られたら、膿皮症の可能性があります。
細菌性膿皮症にはいくつかの分類があり、
最も多いのは表在性膿皮症で、
原因菌は黄色ブドウ球菌と呼ばれる細菌がほとんどです。
抗生物質で治療しますが、治りにくかったり、
何度も繰り返す場合には基礎疾患と呼ばれる他の病気を併発している場合があります。
この場合には、その元の病気の治療と合わせて治療を行います。
掻きむしる、脱毛、
皮膚の赤みがある
イヌ・ネコ
皮膚炎、犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー
かゆみの他に、脱毛、皮膚の赤みが見られるようであれば、
皮膚炎、犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギーを疑いましょう。
主にかゆみ、皮膚の赤み、脱毛といった症状が見られ、
掻きむしる、手足やからだを舐めるなどの行動をとっていたら皮膚炎の可能性があります。
皮膚炎にはさまざまなものがあり、
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーもその一種です。
舐性(しせい)皮膚炎も件数としては多く、
その場合は手の甲など舐めやすいところを舐め続けて、脱毛が起こります。
治療は原因に応じて行います。
感染、アレルギー、からだのどこかの痛みが原因になることもありますし、
精神発達が十分ではない場合にも起こることがあります。
皮膚炎のうち、イヌの場合はアトピー性皮膚炎の可能性もあります。
ほとんどの場合、生後6か月頃から3歳頃までにかゆみ、皮膚の赤み、
脱毛、色素沈着などの症状が見られ始め、
その後生涯にわたって症状が繰り返すことがあります。
はじめは季節性で毎年決まった時期にかゆみが見られ、
次第に季節関係なく通年でかゆみがある状態になります。
イヌのアトピー性皮膚炎は現時点では根治できない病気です。
治療の目的はかゆみをどれくらい取り除けるか。
アトピー性皮膚炎の原因物質を検査して、取り除いたり、避けたりしながら、
シャンプーによるスキンケア、アトピー性皮膚炎から起こる感染症の治療、
皮膚炎に対する薬物療法を行います。
慢性で再発を繰り返しますので、
長期に管理できるように薬の副作用に注意しながらの継続的な治療が必要です。
かゆみ、脱毛、皮膚の赤み、色素沈着、慢性的に疾患が起こる部分があれば
その皮膚が厚みを帯びる、などの症状が見られます。
目や口のまわり、手足や指のあいだ、ワキ、内股、
肛門まわりや耳などに皮膚症状が出ていないかチェックしましょう。
食物アレルギーは食べ物に対して、
かゆみを中心とした皮膚症状や、嘔吐・下痢などの消化器症状が起こります。
検査を行うことで、原因を調べて、その食物を避けることで良くなりますが、
生涯にわたる管理が必要になります。
耳を掻く、頭をふる イヌ・ネコ
外耳炎
耳を掻いたり、頭をふるような行動をしていたら、外耳炎を疑いましょう。
原因はいくつかあり、
異物の混入、外部寄生虫(ダニ)、アレルギー性疾患、代謝性疾患などで、
これらに細菌や真菌の感染が合わせて起こることで症状が見られるようになります。
治療は、耳あかを取り除くために耳洗浄を行います。
異物やダニなどのように除去できる原因については治療を行い、
痒みや炎症は薬を用います。
掻きむしる、フケがでる イヌ・ネコ
ニキビダニ症、疥癬
かゆみに加え、フケが見られるようであれば、
ニキビダニ症か、疥癬の可能性があります。
かゆみやフケの他に、脱毛、色素沈着などの症状が出る場合があります。
ニキビダニとは常在寄生虫のことです。
ニキビダニと宿主とのあいだには、
さまざまな免疫機構が関わることで共生関係が維持されています。
しかしこの免疫機構が破綻すると
ニキビダニが過剰に増殖して症状が見られることがあります。
イヌやネコでは、栄養不良や衰弱、加齢、内分泌疾患、
腫瘍、免疫に関与する薬などがニキビダニ症を悪化させる原因とされています。
ニキビダニ症の治療に加えてシャンプーや感染症の治療も必要です。
治ることが多いですが、ときに完全には治療ができないこともあります。
強いかゆみや、ときに厚めのフケが出るようであれば、疥癬を疑いましょう。
疥癬とは、ヒゼンダニが寄生して起こる皮膚疾患のことです。
検査でヒゼンダニを検出したら、滴下薬、経口薬を使って治療します。完治が可能です。
皮膚の下にコブのようなもの
が
できている
イヌ
無菌性結節性脂肪織炎
皮膚の下にコブのようなものができていたり、
コブから出血や漿液(しょうえき)※1の分泌が見られることがあったら、
無菌性結節性脂肪織炎を疑いましょう。
現在のところ原因は不明ながらも、
グルココルチコイドや免疫抑制療法に効果が見られることは確認されています。
多くの場合、薬の治療は生涯にわたって必要になります。
耳が腫れている イヌ
耳血腫
部分的、または全体的に耳が腫れているようであれば、耳血腫の可能性があります。
原因については、明確になってはいませんが、
耳の皮膚の下に血液や漿液(しょうえき)※1がたまるもので、
外耳炎や耳のかゆみで、耳を振ったり掻いたりすることで起こるとされていました。
治療は、耳の腫れに溜まっている血液や漿液を抜くことと、
頭を振ったり、耳を掻いたりする不快感を取り除くこと。
多くの場合、外科的な処置が必要になります。
再発をすることや、治療後に耳介(じかい)※2の皮膚が厚くなったり、
硬くなったりすることがあります。